小児の身体活動を評価する新しいアクティビティモニターの有効性
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このブログ記事では、発達障害やADHDに関する最新の学術研究を紹介しています。具体的には、小児の身体活動を評価する新しいアクティビティモニターの有効性、ADHDの若年成人に見られる脳の構造的特徴、ASD児の運動スキルと社会スキルが活動参加に与える影響、そしてADHD治療のための非侵襲的脳刺激(NIBS)の適切なターゲット領域の特定について取り上げています。これらの研究は、発達障害の理解を深め、診断・治療の新たな可能性を示すものであり、医療・教育・福祉の分野における今後の実用化が期待されます。
学術研究関連アップデート
Monitoring of child-specific activities in ambulatory children with and without developmental disabilities - BMC Pediatrics
この研究は、小児の身体活動をより正確に把握するために、新しいアクティビティモニター(AM-p)を使って、その有効性を検証したものです。特に、発達障害のある子どもとない子どもを対象に、日常環境での動きを測定し、その正確性を評価しました。
研究の背景
- 小児の健康をサポートするためには、日常の身体活動を正しく測定することが重要。
- これまでの研究では、主に研究室内での測定が中心で、実際の生活環境での検証が不足していた。
- そこで、新しいAM-pを子どもに装着し、日常環境でどの程度正しく測定できるかを調査。
研究方法
- 2〜19歳の歩行可能な子ども93人(うち28人は発達障害あり)が参加。
- 子どもたちは足首にAM-pを装着し、活動中の様子をビデオ撮影(ゴールドスタンダードとして使用)。
- 5秒ごとに「静止」「自転車」「歩行・走行(移動)」の3つのカテゴリーに分類。
- 機械学習を活用し、AM-pのデータとビデオの活動ラベルを比較。
研究結果
- AM-pは 82%の精度 で活動を判別可能。
- 「静止」「自転車」「移動」の分類において、リコール78%、適合率75%、F1スコア75%。
- 13歳以上の定型発達児(発達障害のない子ども)の方が、2〜12歳の子ども(発達障害あり・なし)よりも正確に測定可能。
結論
- AM-pは、子どもの日常生活における活動を 比較的高い精度(82%) で測定できる。
- 発達障害の有無に関わらず、歩行可能な子ども全体で活用できる可能性がある。
- 小児医療の現場で、子どもの身体活動を評価する新しいツールとして有望。