ASDの学齢期の子どもに対するCBTの効果
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このブログ記事では、自閉スペクトラム症(ASD)の学齢期の子どもに対する認知行動療法(CBT)の効果を、家庭内での社会的孤立行動の変化を通じて評価した研究を紹介しています。従来の研究では学校や研究施設での観察が中心でしたが、本研究では家庭内での行動を撮影した動画を専門家が分析し、より実生活に即した介入効果を検証しました。
学術研究関連アップデート
Estimating the Efficacy of CBT for Children on the Autism Spectrum Using a Home-Based Video Assessment of Autism-Related Solitary Behavior
この研究は、自閉スペクトラム症(ASD)のある学齢期の子どもに対する認知行動療法(CBT)の効果を、家庭内での社会的孤立行動の変化を通じて評価したものです。従来の研究では、学校や研究施設での行動を専門家が評価することが多かったですが、本研究では家庭での行動を撮影した動画を専門家が分析し、より実生活に即した効果を検証しました。
研究の方法
- 参加者: 以前のCBT介入研究(Wood et al., 2021)に参加したASD児68名のうち、29家庭が治療前後の自宅動画を提供。
- 評価方法:
- CHEERS(Children’s Household-Environment Engagement Rating Scale):家庭内での社会的関与や孤立行動を測定。
- SIRS(Social Interaction Rating Scale):親の応答的な関わり(Responsive Parenting)を評価。
- 比較対象:
- CBTを受けたグループ
- 標準的な地域支援(ESCT)を受けたグループ
主な研究結果
✅ CBTを受けた子どもは、標準的な地域支援(ESCT)を受けた子どもよりも、孤立行動(CHEERSスコア)が有意に減少。
✅ 親の適切な対応(SIRS Responsive Parentingスコア)が増加すると、子どもの孤立行動の減少と関連していた。
結論
この研究は、CBTが家庭環境での社会的関与を促進し、子どもの孤立を軽減する可能性があることを示しました。また、親の対応が子どもの社会的行動に影響を与えることが確認され、家庭内の支援がASD児の社会的成長において重要な役割を果たすことが示唆されました。本研究の手法は、実際の生活環境における介入の効果をより正確に評価する新たなアプローチとして注目されます。