ASD児の生活の質への影響要因
このブログ記事では、発達障害や知的障害に関連する教育、福祉、心理的支援に関する多様な研究を紹介しています。具体的には、小学校教師によるADHDの評価推薦の判断基準、自閉症児に対する犬を用いた介入の効果、ASD児の生活の質への影響要因、退役軍人におけるADHDとPTSDの併存、そして知的障害を持 つ学生の大学でのインクルージョンの課題など、個人の行動や社会的サポートの向上に関わるテーマが含まれています。
ビジネス関連アップデート
ファストドクター、子どもの発達障害に特化した「小児発達オンライン」をサービス提供開始 | ニュース | ファストドクター株式会社
ファストドクター株式会社は、2024年12月2日より、子どもの発達障害に特化したオンライン診療サービス「小児発達オンライン」を開始します。本サービスは、3歳から18歳までの発達障害が疑われる子どもや診断済みの子どもを対象に、オンラインでの重症度判定(トリアージ)や初期治療、専門医療機関への案内を提供します。これにより、長期化する初診待機問題や地域間格差、受診のハードルを軽減し、早期の適切なケアを実現します。さらに、公認心理師によるカウンセリングや学習支援も組み合わせ、子どもと家族の多様なニーズに対応します。本取り組みは、オンライン診療の利便性を活かして医療アクセスを向上させ、地域医療の持続可能性向上を目指す重要な試みです。
学術研究関連アップデート
Elementary School Teachers’ and Counselors’ Decisions on Referring Students for Evaluation: The Impact of ADHD Traits, Achievement, and Giftedness
この研究は、小学校の教師とカウンセラーが生徒をADHD評価に推薦する際、ADHD関連特性、学業成績、およびギフテッド(才能児)ラベルがその判断に与える影響を調査しました。532名の参加者に仮想の生徒を描写した12の事例を提示し、ADHD診断の推薦や高レベル学際的学校チーム会議(HISTM)での対応可能性を評価しました。
主な結果
- ADHD関連特性:
- ADHD特性が高い生徒は、ADHD診断への推薦可能性が大幅に高かった(効果量0.359)。
- 学業成績:
- 成績が低い生徒も推薦される可能性が高かったが、その影響は小さかった(効果量0.070)。
- ADHD関連特性がない場合に限り、成績の低さが推薦に影響を与える(p < .005)。
- ギフテッドラベル:
- ギフテッドラベルは推薦判断に有意な影響を与えなかった(p > .05)。
結論
ADHD関連特性が、教師やカウンセラーによる評価推薦の主な決定要因であり、成績の低さはその次に影響を与える要因であることが示されました。一方で、ギフテッドラベルは判断に影響を与えないことが明らかになりました。この研究は、ADHD評価における偏りや教師の認識の影響を理解する上で重要な洞察を提供します。
Personality Disorders and Clinical Disorders: The Challenge of Comorbid Autism Spectrum Disorder (ASD), Eating Disorders (EDs), Posttraumatic Stress Disorder (PTSD), or Somatic Symptom Disorder (SSD)
このレビューは、パーソナリティ障害(PDs)に合併する以下の臨床疾患(自閉スペクトラム障害(ASD)、摂食障害(EDs)、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、身体症状症(SSD))の併存率、病因メカニズム、経過、治療上の課題を概観しています。
主な内容と知見
- 併存の影響:
- これらの併存疾患は、症状の重症化、予後の悪化、自傷行為や自殺行動のリスク増加を引き起こします。
- EDsやPTSDの場合、既存の治療法が部分的に有効であるものの、新しいアプローチが必要とされています。
- 治療の方向性:
- 治療には、以下を含む包括的な介入が必要:
- 自殺リスクや感情調整不全への対応。
- トラウマインフォームドケア。
- 患者の治療への関与を促進する方法。
- PDsとASD、EDs、PTSDに共通する病因(基礎的脆弱性)に対応する新たな治療法が研究されています。
- 治療には、以下を含む包括的な介入が必要:
- 今後の研究課題:
- PDsとASDの併存における経過と予後の解明。
- PDsとEDsの併存に対する新しい治療法の開発。
- *複雑性PTSD(Complex PTSD)**の概念の精緻化。
- PDsとSSDの併存に関する研究の開始。
結論
これらの併存疾患への治療は、個別の症状だけでなく、共通の基盤となる要因(感情調整不全やトラウマ経験)に対応する必要があります。自殺リスク管理や患者エンゲージメントを重視した新しい治療アプローチの開発と、疾患の併存による経過への影響を明らかにする研究が求められます。
Examining the Social Support Networks of Parents of Adults with Intellectual and Developmental Disabilities
この研究は、知的および発達障害(IDD)を持つ成人の親の社会的支援ネットワークを調査したものです。518人の親を対象に、全国オンライン調査を実施し、支援ネットワークの構成メンバーやその満足度を分析しました。
主な結果
- 支援ネットワークの構成:
- IDDを持つ成人の親の支援ネットワークには、種類の少ない支援者しか含まれていない場合が多い。
- 支援の満足度はネットワークのメンバーによって異なるが、配偶者からの支援に最も高い満足度を示した。
- ネットワークの多様性の要因:
- 支援ネットワーク内に多様な支援者を持つことの最も強い要因は、配偶者からの支援に対する満足度と世帯収入の高さであった。
- 支援ネットワークへの満足度の要因:
- 支援ネットワークへの満足度が高い親の特徴:
- 身体的健康状態が良好。
- ブラック・アメリカンとして自己認識している。
- 障害を持つ友人
- 支援ネットワークへの満足度が高い親の特徴: