ASD診断サービスへのアクセスにおいて、親や保護者が直面する障壁と促進要因(グローバル)
このブログ記事では、発達障害や特別支援が必要な子どもに関連する学術研究の最新の進展が紹介されています。主に、自閉症やADHDの治療方法、性教育、インターネット依存、生活の質評価ツール、問題解決トレーニングなど、多岐にわたるテーマが取り上げられています。また、デジタルアクセシビリティの改善、親が主導するABA療法、特別支援を必要とする子どもを持つ親への支援や介入の効果についても紹介します。
学術研究関連アップデート
An Adult-Led Game Increases Physical Activity, but Does Not Increase Subsequent On-Task Behavior in Preschool Children
この論文では、成人が主導するゲームが幼児の身体活動を増加させるものの、その後の学習活動への集中行動(オンタスク行動)には影響を及ぼさないことを示しています。研究は二つの実験を通して行われ、実験1では、成人の注意が子どもの身体活動を増加させることが確認されました。実験2では、増加した身体活動がその後の学習時間の集中行動に影響するかを評価しましたが、結果として、身体活動の増加は集中行動の増加につながらないことがわかりました。この結果は、身体活動と学習パフォーマンスの関係における動きの役割や、過去の研究結果との関連について考察されています。
An Empirical Qualitative Investigation into Psychosexual Development in and Sex Education for Autistic Youth: Insights from Autistic and Non-Autistic Young Adults
この研究は、自閉症および非自閉症の若年成人(18~24歳)を対象に、心理的性発達と性教育における経験を調査し、性教育プログラムの改善策を求めることを目的としています。10人の自閉症者と10人の非自閉症者に対して個別インタビューを行い、比較解釈現象学的分析によって4つのテーマが浮かび上がりました。テーマには「性的自己概念の形成」「心理的性発達の理解」「情報源」「性教育プログラムへの提案」が含まれます。自閉症の参加者は、恋愛や性的関係に対する強い不安を共有し、特に社会的コミュニケーションの困難さが要因となっていました。また、自閉症者向けの性教育プログラムには、ロマンスや若年成人向けの内容も含む必要性が示されました。さらに、自閉症コミュニティ内での同年代との交流や、視覚的な手がかりや実例、ロールプレイを用いた具体的な学習形式が有効であるとの意見がありました。本研究は、自閉症者が持つ性教育における未充足のニーズを明らかにし、今後の性教育プログラムにおいてこれらのニーズと経験が考慮されるべきであると提言しています。
Instruments for the assessment of quality of life in children and adolescents with Down syndrome: a scoping review - BMC Pediatrics
この論文は、ダウン症(DS)を持つ子どもとその介護者の健康と生活の質(QoL)を評価するためのツールについてのスコーピングレビューを行っています。ダウン症は運動や認知の発達に影響を与え、生活の質に大きな影響を及ぼします。小児分野では、さまざまな健康関連の生活の質(HRQoL)とQoLを測定するツールが存在しますが、DSに特化した評価が難しい場合があります。本研究は、1. DSの子ども向けのQoL評価ツール、2. その心理測定特性の検証を目的としました。
方法として、PubMed、Embase、Epistemonikosなどの電子データベースで「ダウン症」「生活の質」「健康関連の生活の質」「心理測定特性」といったキーワードを使用して検索を行い、COSMIN基準に基づいて選定した文献を分析しました。
結果、27件の研究で12種類のツールが使用されていることが確認され、そのうち2つがQoLを、10つがHRQoLを評価するものでした。追加検索では、6つのツールの心理測定特性を評価した10件の研究が確認されました。
結論として、特にHRQoLに関する評価ツールの心理測定特性に関する情報は限られており、よく使われるPedsQL 4.0やKIDSCREENのデータは一貫性が不足しています。DS児のQoLを包括的に評価するには、KidslifeやKidslife Downの臨 床評価の厳格な検証、またはDS児に特化した新しいツールの開発が求められると結論付けています。
Digital accessibility tools and training and the DA4You course: views and experiences of users with disabilities
この論文は、障害を持つ人々がデジタル技術にアクセスするためのツールやトレーニングに関する経験と視点を調査したものです。91名の参加者にアンケートを実施し、さらに14名に半構造化インタビューを行った結果、デジタルアクセシビリティに関するトレーニングが不十分であり、学校や大学、成人後の段階でもサポートに不足があることが分かりました。これは障害のある人とない人の間のデジタル格差を広げる原因にもなっています。参加者からは、トレーニングを改善するための提案が出され、それらを基にDA4Youプロジェクトのトレーニングが設計されました。全体的に参加者から高評価を得たものの、障害者向けのデジタルアクセシビリティトレーニングの改善が必要であると強調されています。教育者や政策立案者にとって優先事項とすることが求められています。
Relationship between co-occurring autism spectrum disorder and attention deficit hyperactivity disorder traits and internet addiction among college students in Japan
この研究は、日本の大学生を対象に、自閉スペクトラム障害(ASD)および注意欠陥多動性障害(ADHD)の特性がインターネット依存(IA)とどのように関連しているかを調査したものです。399名の学生を対象に、インターネット利用時間、IAレベル、ASDおよびADHDの特性を評価しました。ASDおよびADHD特性を併せ持つグループは、他のグループ(ASD特性グループやADHD特性グループ)よりもIAスコアが有意に高く、3時間以上SNSを利用する割合も高いことが示されました。この結果から、ASDおよびADHD特性が共存することで、IAのリスクが特に増加する可能性があることが示唆されています。