このブログ記事では、発達障害や福祉に関連する最新の学術研究を紹介しています。主な内容として、自閉症の早期診断におけるジェスチャー発達の役割や、知的発達障害を持つ人々に対する永久的避妊の倫理的問題が議論されています。また、ADHDや自閉症スペクトラム障害に関連する不適応的空想や親のストレスとの関連性、深層学習を用いた自閉症予測モデルの開発、ADHDの組織スキル訓練の効果、ADHD家族のリズム感覚の影響などの研究も含まれています。さらに、網膜と認知機能障害との関連や、性少数者とクラインフェルター症候群における感覚過敏やサヴァン能力の共通性に関する調査も取り上げられており、知的障害を持つ高齢者の社会的包摂に関する研究も紹介します。
学術研究関連アップデート
Early gesture development as a predictor of autism spectrum disorder in elevated-likelihood infants of ASD
この研究は、自閉症スペクトラム障害(ASD)リスクが高い幼児(EL)におけるジェスチャー発達が、早期診断の予測因子となるかを探ったものです。47人のEL幼児と27人の低リスク(LL)幼児を対象に、生後9〜19か月の間にジェスチャーの頻度、コミュニケーション機能、統合能力を観察し、18〜19か月で自閉症診断観察スケジュール(ADOS)評価を実施しました。
結果、共同注意(JA)ジェスチャーの発達はELグループでLLグループより遅れ、特に14〜18か月で差が拡大しました。また、ASD診断基準を満たす子どもは、12〜13か月で社会的相互作用ジェスチャーが減少し、15〜16か月で**他のコミュニケーションスキルとの統合ジェスチャー(G-M)が、18〜19か月で目線との統合ジェスチャー(G-E)**が減少しました。
結論として、ジェスチャーの発達、特にG-MジェスチャーがASDの早期予測指標となり得ることが示されました。
Examining Permanent Contraception for Children, Adolescents, and Young Adults With Intellectual Developmental Disorder: Ethical, Legal, and Medical Considerations: Clinical Report
この論文は、知的発達障害を持つ子ども、青年、若年成人に対する永久的避妊に関する倫理的、法的、医療的な問題を扱っています。医療技術の進歩により、特に知的障害を持つ人々に対して利用できる避妊や月経管理の選択肢が増えています。著者は、永久的避妊の代わりに長期的かつ可逆的な方法や最小限の侵襲による治療法を優先すべきだと強調しています。また、過去の永久的避妊の使用とその乱用について簡潔に触れ、それに基づく現在の倫理的および法的な課題、特にインフォームドコンセントの重要性について議論しています。医療の意思決定や患者の希望も考慮すべきであるとし、この特定の集団における永久的避妊を検討する医療提供者に対する推奨事項が示されています。