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複雑なスキルをステップに分割して教えていく方法【タスク分析実践編】【ABA・応用行動分析学】

· 約7分
Tomohiro Hiratsuka
CEO of Easpe, Inc

今回は前回のタスク分析準備編に続く実践編です。前回の記事をまだ読まれていない場合にはそちらを先に読んでいただくと理解しやすいと思います。

はじめに

今回は前回のタスク分析準備編に続く実践編です。前回の記事をまだ読まれていない場合にはそちらを先に読んでいただくと理解しやすいと思います。

https://www.easpe.com/blog/article/18

前回は連鎖スキルの学習支援に関して3種類のアプローチをご紹介し、それぞれどのような準備が必要かみていきました。今回は具体的な実践方法をご紹介します。

前進的連鎖

前進的連鎖を使用する場合にはタスクの時系列に沿って、一つずつステップをこなしていきます。

①プロンプトの利用・対象行動の発生

対象とする連鎖タスクの一番最初のステップにおいて、準備段階で選択したプロンプトの種類、方針に則って児童が対象行動を実行できるようにアシストする。

②強化

対象ステップが出来た場合に、社会的強化子(褒める等)や有形の強化子を使用して強化する。

③残りのステップの提示

対象のステップが達成できた場合に、連鎖タスクの残りはどんなものがあるのか提示する

④習得判定

対象ステップの成功確率や頻度が、目標に達したと判断されたら、次のステップの学習を開始する。

後進的連鎖

後進的連鎖の場合には連鎖タスクの最後のステップから逆順に一つずつ学習していきます。

①タスク全体を通してアシストする

初回の学習は、全てのステップを完了できるようにプロンプトを使用して、連鎖タスクを実行できるようにします。

例えば連鎖タスクが「手を洗う」の場合には、水を出すところから最後に手を乾かすところまで全てをサポートし実行します。

②最後のステップから学習

準備段階で選択したプロンプトの種類、方針に則って児童が対象行動を実行できるようにアシストする。

②強化

対象ステップが出来た場合に、社会的強化子(褒める等)や有形の強化子を使用して強化する。

④次のステップの実施

最後のステップを習得できたら、その次からはもう一つ前のステップを含んだ形で学習します。(手を乾かす→水を止める、、、等)

全体タスク

前者の二つが順番に個々のタスクを学習しつなげていくのに対して、こちらは一度に全部のタスクを教えていきます。

①プロンプトの利用とタスクの実行

それぞれのステップに対して、選択したプロンプトを用いてステップを実行できるようにします。また視覚支援やビデオモデリングなど補助として有効なものを同時に併用することも可能です。

②強化

それぞれのステップが完了した際に、強化子を提供します。ただし、児童にとって一番好きな強化子はタスク全体が完了した際に用いるため最後までとっておく必要があります。

③強化の減少

児童がそれぞれのステップを習得し始めてきたタイミングで、強化を少しづつ弱めていきます。

モニタリング

モニタリングデータの例

それぞれのアプローチで、連鎖スキルをどの程度習得していくか進捗を図るためにデータを収集します。上記のように、プロンプトが必要だったか、必要な場合にどの程度の強度のプロンプトだったのかを可視化することができます。

トラブルシューティング

TAを実践していく上で、児童の学習があまり芳しくない場合には以下のような項目に関して振り返りを行うことが有効です。

  • 対象行動やスキルは観察可能なまた計測可能な形できちんと定義されているか
  • 児童は対象行動やスキルの学習の前提になるスキルを獲得しているか
  • タスクのステップは適切に分割されているか
  • 各ステップを教えていく上で適切な方法を選択していると言えるか
  • プロンプトは児童の行動を引き出すものとして機能しているか
  • 各ステップを習得した際に、強化子が適切に与えられているか

まとめ

連鎖タスクをどのように教えていくことができるのかという点に関してTAは有効です。実際に行なっていく上で難しいのは、適切なプロンプトの選択やその加減かと思われます。プロンプトの強さの種類や基本的な実践方法などに関しては下記の記事を参照してください。

https://www.easpe.com/blog/article/15