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ダウン症の幼児が使用するジェスチャーとの関連調査

· 約38分
Tomohiro Hiratsuka
CEO of Easpe, Inc

このブログ記事では、自閉スペクトラム症(ASD)や発達性言語障害(DLD)、特別支援教育(SEND)に関する最新の研究を紹介し、早期発見、家族支援、教育現場での技術活用、そして学生が抱える課題への実践的アプローチを深掘りしています。特に、毛髪コルチゾールによるストレス評価、幼児期のASD兆候のスクリーニング、DLD児の語り能力分析、補助技術の教育的効果、そして数学文章題における語彙理解の重要性など、多岐にわたる研究から得られた知見を基に、子どもや家族、教育者にとっての実践的なインサイトを提供しています。

学術研究関連アップデート

Hair Cortisol in Young Children with Autism and Their Parents: Associations with Child Mental Health, Eating Behavior and Weight Status

この研究は、自閉スペクトラム症(ASD)の子どもとその両親が直面するストレスについて、生物学的指標である**毛髪コルチゾール濃度(HCC)**を用いて調査し、子どもの精神的健康、食行動、体重(BMI)との関連を探ったものです。対象は、ASDの子ども102人とその母親101人、父親86人でした。

主な結果

  1. 子どものストレス:
    • ASDの子どもは一般の子どもよりもHCCが高く、ストレス調整の仕組みが異なる可能性が示されました。
    • しかし、子どものHCCは精神的健康(自閉症症状や問題行動)、食行動、BMIとは直接の関連が見られませんでした。
  2. 親のストレス:
    • 母親のストレス(HCCと自己申告)は、子どもの問題行動と関連がありました。
    • 父親の自己申告によるストレスは、子どもの自閉症症状や問題行動と関連がありました。
    • 両親のストレスは、子どもの感情的な過食や食欲不振といった食行動とも関連がありました。

結論と意義

  • ASDの子どもでは、ストレス調整において他の子どもとは異なる傾向があることが示唆され、HCCの測定が研究や臨床において有用である可能性があります。
  • 親のストレスが子どもの行動や食行動に影響を与えるため、家族全体のストレスケアを考慮した支援が重要です。
  • この研究は、ASDの子どもの健康や行動の理解を深めるだけでなく、家族全体の支援を改善するための重要な手がかりを提供しています。

この研究は、ストレスや家族ダイナミクスがASD児の心身の健康にどのように影響するかを理解するための基盤を築いており、予防的介入やサポートに役立つと期待されます。

Caregiver report of infant behavior associated with autism likelihood in first year of life

この研究は、生後1年以内の乳児の行動や発達に関する保護者の報告をもとに、自閉スペクトラム症(ASD)の早期発見につながる可能性のある指標を特定することを目的としています。乳児期のASDの兆候を早期に特定することで、より早い介入と支援が可能になります。

方法

  • 対象: 乳児332人(男児168人)を対象に、一般集団の出生コホートを追跡調査。
  • データ収集:
    • 生後9か月時に、**SWYC(乳幼児の発達全般を監視するための調査)**を母親が記入。気質、適応力、睡眠問題、発達マイルストーンを評価。
    • 生後12か月時に、**FYI-Lite(ASD特有の行動を評価するための調査)**を母親が記入。
    • 母親自身が、**BAPQ(自閉症特性に関連するサブクリニカルな特徴を評価する自己報告ツール)**を記入。

主な結果

  1. 乳児の気質や発達マイルストーン(9か月時点の報告)は、12か月時点でのASD関連行動の指標(FYI-Liteスコア)と関連があることが判明。
    • 具体的には、難しい気質、適応力の低さ、睡眠の問題がASD関連行動と関連。
  2. 母親自身の自閉症特性(BAPQスコア)が高い場合、乳児のASD関連行動が過大評価される可能性があるため、保護者の背景を考慮することの重要性が示唆されました。
  3. 母親の教育水準も結果に影響を及ぼす要因として特定されました。

結論

  • 生後9か月時点の気質や発達マイルストーンに関する母親の報告は、生後12か月時点でのASDの可能性を示唆する行動を予測する手がかりとなる可能性があります。
  • 保護者が回答するスクリーニング調査を解釈する際には、保護者自身の自閉症特性や背景要因を考慮する必要があります。
  • この研究は、乳児期におけるスケーラブルなASD早期発見ツールを開発するための基盤を提供しており、早期介入のターゲットを特定する助けとなる可能性があります。

実生活への影響

乳児期におけるASDの早期兆候を特定することで、より早い段階での支援や介入が可能になります。この研究は、ASDの早期診断を目的とした親向けスクリーニングツールの開発や改善に役立つと期待されています。特に、乳児の発達に関する親の視点を取り入れることで、現場で活用できる簡便な方法が見つかる可能性があります。

Exploring linguistic and narrative competence in Italian children with developmental language disorder: A comparative study with typically developing peers

この研究は、発達性言語障害(DLD)を持つイタリアの子どもたちと、通常発達(TD)の子どもたちを比較し、語りの能力(ナラティブ能力)や言語能力に焦点を当てたものです。DLDは、認知や神経的な障害がないにもかかわらず、言語発達に困難を抱える状態で、コミュニケーションや学習に影響を与えます。


方法

  • 対象:
    • 19人のDLD児(4〜8歳)。
    • 年齢と性別が一致した19人の通常発達(TD)児。
  • 課題:
    • ナラティブ能力課題(NCT): 子どもたちに物語を語らせ、マクロ構造(物語の全体構成)とミクロ構造(文の長さや言葉の選び方などの細部)を分析。
    • 文法・語彙の誤り: 文法的および語彙的なエラーを詳細に記録し、100語あたりのエラー数を算出。

主な結果

  1. 物語全体の構造(マクロ構造):
    • DLD児とTD児の間に有意な差は見られず、両グループとも物語の大枠を構築する能力は同程度。
  2. 細部の構造(ミクロ構造):
    • DLD児はTD児と比べて、発話が短い傾向にあり、細かい表現に課題が見られた。
  3. 文法や語彙のエラー:
    • 両グループともエラーの頻度は低く、平均して100語あたり2つ程度のエラーが確認された。
    • エラーの内容に大きな違いはなく、DLD児が極端にエラーを多くするわけではなかった。

結論と意義

  • DLD児の特徴:
    • 大きな物語の流れを構成する能力(マクロ構造)は、通常発達の子どもと同等であるが、細かい表現(ミクロ構造)に課題がある。
    • 文法や語彙のエラーは少なく、エラーそのものが主な問題ではない。
  • 臨床的意義:
    • この結果は、DLD児の支援において、物語全体の構造よりも、細部の言語能力に焦点を当てた介入が重要であることを示している。
    • 個別に対応したトレーニングプログラムが、DLD児の言語発達に効果的であると期待される。

補足

マクロ構造とは、物語の始まり・中間・結末を整える能力など全体的な物語構成を指します。一方、ミクロ構造は、文の長さ、語彙の選択、文法的な正確さなど、細かい言語運用の部分です。この研究は、DLD児が物語を伝える能力を持ちながらも、細かい表現において支援が必要であることを明らかにしました。

How can we make therapy better for autistic adults? Autistic adults' ratings of helpfulness of adaptations to therapy

この研究は、自閉スペクトラム症(ASD)の成人が心理療法をより効果的に受けられるようにするために、どのような適応(adaptations)が有効かを調査したものです。自閉症の人々は、非自閉症の人々と比較して、うつ病や不安障害などのメンタルヘルスの問題を抱えやすい一方で、適切なメンタルヘルス支援を受けるのが難しい現状があります。そこで、療法の適応が自閉症の成人にとってどれだけ有効と感じられるかを初めて直接調査しました。


方法

  • 対象: 130人の自閉症成人がオンライン調査に参加。
  • 調査内容:
    • 55種類の療法の適応について、「全く役に立たない」から「非常に役に立つ」までの評価を回答。
    • 自閉症成人自身が考える「追加の適応アイデア」についても自由記述で収集。

主な結果

  1. 高く評価された適応:
    • ニューロダイバーシティ(神経多様性)を肯定する適応:
      • 例: セラピストが「脳の違い」を受け入れ、自閉症のアイデンティティを肯定的に支援する。
      • これらの適応が最も役に立つと評価されました。
  2. 評価のばらつき:
    • 全体として、約半数の適応が「役に立つ」と評価されました。
    • ただし、ほとんどの適応について、少なくとも1人は「全く役に立たない」と評価し、別の1人は「非常に役に立つ」と評価するなど、評価に大きな個人差がありました。
  3. 追加で提案された適応:
    • 参加者から以下のような新しい適応案が提案されました:
      • 一般的な良い実践: セラピストの丁寧な対応や配慮。
      • 金銭的コストの軽減: 費用負担を減らす方法。
      • 感覚や環境への配慮: 音や光など感覚刺激の調整。
      • 構造化とスタイル: セッションの進め方や技術の調整。

結論と意義

  • 自閉症成人自身の視点:
    • セラピーを受ける側が「役に立つ」と感じる適応を明らかにし、セラピストの提案との違いも浮き彫りになりました。
    • 自閉症成人が自分のニーズに合った適応をセラピストに提案する際の参考リストとして利用可能です。
  • セラピストへの提言:
    • 自閉症成人の多様なニーズを認識し、個別化された適応を提供する重要性が示されました。
    • 特にニューロダイバーシティを肯定するアプローチが有効であることが強調されています。

実生活への応用

この研究は、自閉症成人が療法を受ける際にどのような支援が効果的かを具体的に示しており、セラピストがより効果的に支援を提供するための手助けとなります。また、自閉症成人自身が自分に合った支援を積極的に要求するための実用的なガイドとしても活用できる内容です。

The Transition to Kindergarten for Hispanic and Latine Autistic Children: A Focus Group Study with Caregivers

この研究は、ヒスパニック系およびラティーネ系の自閉スペクトラム症(ASD)の子どもたちが幼稚園に進級する際に、保護者が直面する課題や支援策について焦点を当てています。これらの家庭は、言語の違い、自閉症や特別支援教育への理解の違い、学校でのプロセスの複雑さなど、特有の困難に直面することが多い一方で、**文化的な資源(cultural capital)**を活用して子どもを支援する力も持っています。本研究は、そうした保護者の体験を深く理解することを目的としました。


方法

  • 対象者: ASDの子どもを持つヒスパニック系およびラティーネ系の保護者4名。
  • 調査手法: 質的研究法を用いて、フォーカスグループで保護者の体験を共有。
  • データ分析: テーマ分析(thematic analysis)を実施し、主なテーマや課題を特定。

主な結果

研究では、以下の4つの主要テーマが特定されました:

  1. 学校と保護者の積極的かつ継続的な連携の重要性:
    • 学校との明確で頻繁なコミュニケーションが、移行を円滑にする重要な要素として挙げられました。
    • 保護者と学校が共有の目標を持つことで、子どもへの支援が向上。
  2. 言語やプロセスへの戸惑い:
    • 特別支援教育に関連する手続きが複雑でわかりにくく、特に英語が第一言語でない保護者にとって大きな障壁となっている。
    • 学校からの情報が十分でない場合も多く、保護者が適切に支援を求めるのが難しい。
  3. 自閉症に関する情報の不足と誤解:
    • 教師や地域社会で自閉症についての理解が十分でないことが、保護者と子どもにとっての課題。
    • 自閉症に対する誤解が、支援や適切な教育環境の提供を妨げることもある。
  4. 保護者が活用する文化的資源(cultural capital):
    • 保護者は、家族の絆や文化的な強みを活用して、子どもを支援。
    • 信頼できるコミュニティやネットワークからの支援が役立つことが多い。

提言

  • 学校と家庭の連携を強化する仕組み:
    • 保護者が学校とスムーズにコミュニケーションを取れるよう、双方向の連携を促進。
  • 自閉症に関する情報提供:
    • 教師や地域社会への教育を強化し、誤解を減らす。
    • 自閉症と特別支援教育に関する情報を、わかりやすく提供。
  • 文化的背景を尊重した支援:
    • ヒスパニック系やラティーネ系保護者の文化的資源を活用し、子どもへの支援を充実。

結論

この研究は、ヒスパニック系およびラティーネ系の保護者が幼稚園への移行に際して直面する課題や、活用している資源を明らかにしました。特に、学校と保護者の信頼関係を構築し、言語や文化的背景を考慮した支援を提供することで、移行プロセスが大きく改善する可能性が示されています。この研究の知見は、教育現場や政策立案者が、多様な文化背景を持つ家族をよりよく支援するための貴重な指針となるでしょう。

Examining Concurrent Associations Between Gesture Use, Developmental Domains, and Autistic Traits in Toddlers With Down Syndrome

この研究は、ダウン症(DS)の幼児が使用するジェスチャー(身振り手振り)と、他の発達領域(運動、言語、社会的コミュニケーション、視覚的認知など)との関連を調査したものです。また、ジェスチャーの発達が自閉症特性(ASD traits)とどのように関連するかも検討しています。


背景と目的

  • 背景: ダウン症の幼児は、同じ年齢や言語発達レベルの幼児と比べて、ジェスチャーの使用頻度が高いことが知られています。
  • 目的: ジェスチャーが社会的コミュニケーションスキルの良い指標であるか、それとも運動能力や言語能力、語用論(実際の言語使用スキル)などの他の発達領域の指標であるかを調べること。
  • 自閉症特性がジェスチャーの発達に与える影響を探ること。

方法

  • 対象: ダウン症の幼児30人(平均26.1か月、15人が女児)。
  • 評価手法:
    • 幼児の発達を以下のツールで評価:
      • Mullen Scales of Early Learning (MSEL): 言語(受容、表出)、運動(細かい運動、大まかな運動)、視覚認知スキルを測定。
      • ADOS-2: 自閉症の社会的影響(Social Affect: SA)と反復行動を評価。
    • MacArthur-Bates Communicative Development Inventories (CDI): 言葉とジェスチャーの発達を評価。
    • Language Use Inventory (LUI): 語用論的な言語スキル(実用的な言語使用)を親が報告。

主な結果

  1. ジェスチャーと発達領域の関連:
    • ジェスチャーの総使用量は以下のスキルと強く関連していました:
      • 語用論スキル(LUIスコア)
      • 言語スキル(受容、表出言語のスコア)
    • 運動スキル(細かい運動、大まかな運動)とも中程度の関連がありました。
    • *視覚的認知スキル(VRスコア)**との関連は見られませんでした。
  2. 自閉症特性との関連:
    • *社会的影響スコア(ADOS SAスコア)**が高い幼児(=自閉症特性が強いとみなされる幼児)は、ジェスチャー使用が少ない傾向にありました。
    • 一方で、反復行動スコア(ADOS RRBスコア)との関連は見られませんでした。

結論と意義

  • ジェスチャーは言語、語用論、運動スキルと密接に関連しており、これらのスキルがジェスチャー発達に影響を与える可能性が示唆されます。
  • 自閉症特性が強い幼児はジェスチャーの使用頻度が低いため、社会的コミュニケーションスキルを理解するうえで重要な指標になると考えられます。
  • 臨床応用:
    • 各子どもの発達プロファイル(運動スキル、語用論スキル、言語スキル、社会的コミュニケーションスキル)を総合的に評価することで、ジェスチャーの発達をより深く理解し、適切な支援につなげることができます。

実生活への応用

この研究は、ダウン症の幼児がどのようにジェスチャーを使用しているのかを理解することで、言語やコミュニケーションの発達支援に役立てる知見を提供します。また、自閉症特性を持つ子どもに対するサポートや評価の際にも、ジェスチャーを重要な観点として考慮する必要があることを示唆しています。

Frontiers | A Systematic Review of the Utility of Assistive Technologies for Send Students in Schools

この研究は、特別な教育的ニーズを持つ生徒(SEND: Special Educational Needs and Disabilities)を支援するための補助技術(Assistive Technologies)が、学校でどのように学習成果に影響を与えるかを調査した系統的レビューです。2012年から2023年までに発表された研究を対象とし、特に自閉スペクトラム症(ASD)を含む障害を持つ生徒への技術的支援に焦点を当てています。


主な内容

  1. 補助技術の例:
    • モバイルデバイスiPad、**拡張現実(AR: Augmented Reality)**を活用した学習支援が頻繁に利用されている。
    • これらの技術は、学習環境をより包括的魅力的なものにする可能性があると評価されています。
  2. 研究の傾向:
    • 2013年と2018年に研究活動がピークを迎えたが、それ以降は減少傾向。
    • ASDに関する12件の研究が含まれており、補助技術が自閉症の子どもたちに優先的に活用されていることが強調されています。
  3. 発見と課題:
    • 補助技術は、生徒の学習成果を改善する可能性があるものの、適切な導入方法の洗練が必要。
    • 技術の効果を最大化するには、教師の協力多様な指導法技術統合の工夫が重要。
    • 実用性や有効性に課題が残るため、さらなる研究や革新が必要。

結論と意義

  • 補助技術の可能性:
    • 補助技術は、特別支援が必要な生徒にとって有望な学習支援ツールであり、教育の包括性を向上させる可能性がある。
    • 特にARやモバイルデバイスなどの技術は、生徒の学習への興味や参加を促進する手段として期待されています。
  • 課題:
    • 効果的な実装には、学校や教師、家庭の協力が必要であり、単に技術を導入するだけでは十分ではない。
    • 障害ごとのニーズに合わせた技術の活用が重要。
  • 今後の展望:
    • 多様な教育現場で補助技術を適切に適用するためのさらなる研究が求められる。
    • 技術と教育の融合を進めることで、障害を持つ生徒により良い教育機会を提供できる。

実生活への応用

この研究は、補助技術が特別支援教育における可能性を示すと同時に、その実用性を最大化するための課題も明らかにしています。教育現場での導入を成功させるためには、教師や家族の協力、適切なトレーニング、そして生徒一人ひとりのニーズに応じた柔軟な技術活用が求められます。このような取り組みは、すべての生徒が平等に教育を受けられる社会を目指す上で重要な一歩です。

Special Education Teacher Preparation in PBIS for Students With Extensive Support Needs

この研究は、**包括的支援ニーズ(ESN: Extensive Support Needs)を持つ生徒に特化した学校全体のポジティブ行動支援(PBIS: Positive Behavioral Interventions and Supports)**に関する特別支援教育教師の準備について調査したものです。PBISは、生徒全体の社会的、感情的、行動的ニーズを支える多層的なサポートシステムであり、安全で公平な学校環境を促進することを目指しています。しかし、ESNを持つ生徒がPBISのすべての側面に十分にアクセスし、参加できていない現状があり、その一因として教師の誤解や否定的な認識が挙げられています。


研究の目的

  • 特別支援教育の教師養成プログラムにおいて、ESNを持つ生徒向けのPBISをどのように扱っているのかを探る。
  • 特に、**Tier 1(普遍的支援)**のPBISに焦点を当て、教師養成プログラムの内容や方法を調査。

方法

  • 調査対象: 学部および大学院レベルの特別支援教育教師養成プログラムで教える34名の講師。
  • 調査内容: 講義で扱われているPBISに関する内容、講師が重要だと考えるテーマ、講義方法(知識習得とスキル開発のバランスなど)。

主な結果

  1. 講義内容:
    • PBISに関する幅広い内容を取り扱っており、ESNを持つ生徒に特化したテーマも含まれていた。
    • ただし、内容は主に知識習得(理論や概念の学習)に重点が置かれ、スキル開発や実践的な活動の機会は少なかった。
  2. PBISへの認識:
    • 講師たちは、ESNを持つ生徒向けのPBISの内容を取り入れることを重要だと考えている。
    • 特に、ESNを持つ生徒のPBISへの包括的な参加を促進するための知識とスキルの両方が必要と認識。

結論と提言

  1. 課題:
    • 教師養成プログラムは、理論的知識に偏りすぎており、スキル開発や実践的応用が不足している。
    • ESNを持つ生徒がPBISに十分参加できるようにするためには、教師が実践的スキルを磨く機会を増やす必要がある。
  2. 提言:
    • 教師養成プログラムにおいて、実践的なスキル開発を取り入れたカリキュラムの強化が必要。
    • PBISの理論だけでなく、実際の教育現場で活用できる戦略やスキルを身につける機会を提供すべき。
  3. 今後の研究:
    • 実際の教育現場でPBISがどのように実践され、ESNを持つ生徒の参加がどう影響を受けるかを追跡調査する必要がある。

実生活への応用

この研究は、特別支援教育の教師がESNを持つ生徒を支援するために必要な準備についての課題を明らかにしています。教育現場でPBISをより効果的に活用するには、教師が実践的なスキルを学び、ESNを持つ生徒を包括的に支える方法を身につける必要があります。このようなアプローチは、生徒全体の学習環境の質を向上させる重要なステップです。

The Reading Teacher | ILA Literacy Education Journal | Wiley Online Library

この論文は、**数学の文章題(ストーリープロブレム)において、言語スキルが問題を理解し解くためにどのような役割を果たすのかを探り、学生の理解を助けるためのツールとして「TSNボキャブラリーモデル(Technical Subtechnical Nontechnical Vocabulary Model)」**を提案しています。


研究の背景

  • 多くの学生は数学的なスキルを持っていても、文章題の意味を理解することに苦労しています。
  • 教師は読解戦略の使用を促進するよう勧められていますが、文章題を理解するためにはまず語彙の理解が重要です。
  • 語彙の理解は、文章の意味を把握し、問題を解決するためのスキーマ(枠組み)構築に不可欠です。

TSNボキャブラリーモデルとは?

このモデルは、文章題に含まれる語彙を以下の3つのカテゴリに分類し、それぞれの理解を支援する指導計画の立て方を示します。

  1. Technical Vocabulary(専門語彙):
    • 数学特有の専門用語(例: 分数、割合、面積)。
    • これらの語彙の理解は、数学的スキルの直接的な習得に直結します。
  2. Subtechnical Vocabulary(準専門語彙):
    • 数学だけでなく他の科目や日常生活でも使われるが、数学の文章題では特定の意味を持つ言葉(例: 増える、減る、比較する)。
    • この語彙の理解が文章題を正確に解釈する鍵となります。
  3. Nontechnical Vocabulary(非専門語彙):
    • 日常的な言葉で、数学に直接関係しないが文章題の文脈理解に必要な語彙(例: 友だち、リンゴ、カバン)。
    • これらの語彙がわからないと、問題全体の意味を捉えられなくなる可能性があります。

TSNモデルの活用例

  • 専門語彙の指導:
    • 数学的概念を教える際に、専門用語を明確に定義し、具体例を使って説明する。
  • 準専門語彙の強調:
    • 文脈や問題文の中での使われ方を解説し、学生が特定の語彙の数学的意味を理解できるようにする。
  • 非専門語彙への配慮:
    • 文章題に含まれる日常的な語彙が学生にとってわかりやすいか確認し、必要に応じて説明を加える。

教育現場での応用

  1. 文章題の指導計画を立てる際に、3つの語彙カテゴリを考慮する。
  2. 学生がつまずきやすい語彙(特に準専門語彙や非専門語彙)を特定し、追加の指導を提供する。
  3. スモールステップの練習を取り入れ、語彙の理解を段階的に深める。

結論と意義

  • 語彙の理解は、数学の文章題を解くための基盤であり、特に準専門語彙や非専門語彙も含めて重視する必要があります。
  • TSNボキャブラリーモデルは、教師がすべての学生(特に語彙理解に課題を抱える学生)を支援するための有効なフレームワークです。
  • このモデルを活用することで、文章題の指導の質を高め、学生が文章題の意味をよりよく理解し、自信を持って解けるようになると期待されます。

この論文は、文章題を苦手とする学生のサポート方法を具体化する手助けとなる実用的なガイドラインを提供しています。