自閉症青年への時間関係スキル教育におけるRFTの有効性
このブログ記事では、ADHDや自閉症、ディスレクシアなどに関する最新の学術研究を紹介しています。ADHDの症状と刺激薬治療の関係、幼児ADHD診断に向けた脳波と行動測定の統合モデル、自閉症青年への時間関係スキル教育、サウジアラビアでの自閉症支援サービスの親の満足度、自閉症の早期診断における脳波と視線追跡の活用、Early Start Denver Model(ESDM)の介入の有効性、そして英語が母語でないディスレクシア学習者への指導効果といった内容を取り上げています。
学術研究関連アップデート
Stimulant medication and symptom interrelations in children, adolescents and adults with attention-deficit/hyperactivity disorder
この研究は、注意欠陥・多動性障害(ADHD)の症状に対する刺激薬の影響を、ネットワーク解析により検討したものです。348名の刺激薬治療を受けるADHDの参加者、70名の治療を受けないADHDの参加者、そして444名の非ADHDコントロールグループを対象に、18のADHD症状間の関連性を比較しました。結果として、刺激薬治療を受けているADHDの人は、治療を受けていない人や非ADHDの人と比べ、症状間の関連が強いことが示されました。また、早期かつ集中的に治療を受けたグループと、遅れて緩やかな治療を受けたグループ間での症状ネットワークには差は見られませんでした。この研究は、症状間の関連が治療によるものか、もともとの要因によるものかを解明するために、さらに長期的な追跡研究が必要であることを示唆しています。
The utility of wearable electroencephalography combined with behavioral measures to establish a practical multi-domain model for facilitating the diagnosis of young children with attention-deficit/hyperactivity disorder - Journal of Neurodevelopmental Disorders
この研究は、幼児期のADHD診断を支援するために、ウェアラブル脳波計(EEG)と行動測定を組み合わせたマルチドメインモデルを開発しました。ADHDの診断は複雑で、特に幼児期では複数の情報源を組み合わせるアプローチが重要です。本研究では、43名のADHD児と35名の定型発達児を対象に、ウェアラブルEEGデバイス、K-CPT-2テスト(集中力評価)、およびADHD症状評価スケールのデータを用いて、機械学習と深層学習モデルを作成しました。これらのモデルを統合したアンサンブルモデルは、0.974の高い精度を達成しました。重要な特徴として、教師評価、K-CPT-2の反応時間、後頭部高周波EEGバンドの強度がADHDの特定に有効であることが示されました。このシステムは、ADHD診断の実用性と信頼性を高める可能性を持ち、特に幼児期の診断支援に有望とされています。
Teaching Nonarbitrary Temporal Relational Responding in Adolescents with Autism
この研究は、リレーショナル・フレーム理論(RFT)に基づく手法を用いて、自閉症の青年に非任意の(物理的基盤に基づく)時間関係の応答スキルを教える試みを行いました。時間関係の応答は、順序づけや計画、時間の理解といった重要なスキルの基礎であるとされますが、これまでこの分野での研究は限られていました。今回の研究では、3人の自閉症の青年がRFTベースの「複数例訓練(MET)」を受け、全員が100%の精度でスキルを習得しました。また、訓練後も2週間および4週間後にそのスキルを保持し、新しいデータセットに対しても100%の精度で応用できたことが確認されました。