簡単な言語での「心の理論」評価ツールの開発
このブログ記事では、発達障害や特別な支援が必要な子どもたちに関連する様々な研究を紹介しています。具体的には、自閉症の若者に職場での社会スキルを教えるためのビデオモデリングの効果、発達障害を持つ生徒への分数指導方法の効果、COVID-19ワクチン接種に関する障壁と促進要因、発達性言 語障害を持つ幼児への新しい文法介入の効果、簡単な言語での「心の理論」評価ツールの開発、Bacteroides fragilisの自閉症治療効果、そして特別支援が必要な子どもたちの体重管理に関する考慮事項についての研究を紹介します。
学術研究関連アップデート
Using Video Modeling Plus Feedback to Teach Vocational Social Skills to Employment-Aged Autistic Youth
この論文は、自閉症の若者に職業的な社会スキルを教えるための介入方法として、ビデオモデリングとフィードバックを組み合わせた手法の効果を検討したものです。研究には、職業移行期にある3人の自閉症の若者が参加し、シミュレーションされた職場環境で一般的な職場の社会スキルを学びました。結果として、この介入方法はスキルの習得に非常に効果的であることが確認されましたが、新しい上司やコミュニティでの職場環境へのスキルの一般化に関しては、結果が一貫していないことが観察されました。
A Systematic Review of Evidence-Based Instruction for Developing Fraction Concepts of Autistic Students and Those with Intellectual and Developmental Disability
この論文は、自閉症の生徒や知的・発達障害のある生徒に対する分数概念の指導方法についての研究を体系的にレビューしたものです。2015年から2023年にかけて発表された14件の研究がレビューの対象となりました。参加者は小学校から高校までの生徒で、特に中学生が多くを占めています。ほとんどの研究では、ビデオベースの指導や明示的な指導法が用いられており、いずれの方法も学習成果に効果的であることが確認されました。これらの指導方法が、分数概念の発達を支援するために効果的であることを示す新たな証拠が得られたことが本レビューの主要な結論です。
Reported Barriers and Facilitators for Autistic Individuals, Persons with Other Intellectual and Developmental Disabilities, and Their Caregivers to Receive the COVID-19 Vaccine: A Pilot Study
この 論文は、自閉症や知的・発達障害(IDD)を持つ個人とそのケアギバーがCOVID-19ワクチンを受ける際に直面する障壁と促進要因を調査したパイロットスタディです。この研究では、2021年12月から2022年8月にかけて、A.J. Drexel Autism InstituteとDrexel Universityの自然科学アカデミーが協力して実施した「感覚フレンドリーCOVID-19ワクチンクリニック」(SFVC)に参加した35人の自閉症者/IDD者とそのケアギバーにアンケートを行い、さらに18人が補足インタビューに参加しました。
結果として、SFVCに参加した全員が無事にワクチン接種を受けることができ、90%以上の参加者がクリニックでの体験を肯定的に評価し、他の人にも勧めたいと答えました。成功の要因としては、専門的なスタッフの対応、感覚に配慮した要素、過去の医療経験に関連しない中立的な場所での開催が挙げられました。一方、障壁としては、準備不足の薬局スタッフ、行動上の課題、物流的な問題が指摘されました。これらの障壁や促進要因を考慮し、適切な対応を行うことで、神経多様な個人に対する予防医療プロセスがより成功しやすくなることが示唆されています。