ビデオモデリングによる自閉症児の遊びの介入効果
本ブログ記事では、発達障害や関連する学術研究の最新動向を紹介しています。自閉症スペクトラム障害(ASD)の人種別有病率や、農村部と都市部の障害有病率の違い、EEGを利用した自閉症成人向けの感情認識改善プログラムの効果、ADHD児童の脳活動の違い、ダウン症の分子と免疫のサブタイプ、ビデオモデリングによる自閉症児の遊びの介入効果、親子相互作用の 影響、支配行動システムとメンタライゼーションの関係、音の立ち上がり時間に対する感受性と識字能力の関連、親から報告された自閉症とADHD特性の分布などを紹介します。
学術研究関連アップデート
Racial Differences in the Prevalence of Autism Spectrum Disorder: A Systematic Review
この研究は、アメリカにおける自閉症スペクトラム障害(ASD)の人種別有病率の変化を系統的にレビューしています。1990年代から2010年以前の出生コホートでは、白人の子供が最も高い有病率を示していましたが、2010年以降のコホートでは、黒人、ヒスパニック系、アジア・太平洋諸島系の子供たちが白人の子供たちを上回る有病率を示しています。これらの変化は、ASDのスクリーニングや診断の改善、健康保険政策の変更、移民政策の変化、少数派グループの教育水準の向上などが要因として考えられています。
Brief Report: Rural–Urban Differences in Disability Prevalence, Healthcare Services Utilization, and Participation in Special Education
この研究は、農村部と都市部の子供たちにおける障害の有病率、医療サービスの利用、特別支援教育の参加に関する違いを調査しました。2021〜2022年の全国健康インタビュー調査(NHIS)に参加した2〜17歳の子供12,828人のデータを使用し、ワシントングループ短縮セット複合障害指標、発達障害指標、神経多様性指標を含む3つの障害指標を分析しました。分析の結果、農村部の子供は都市部の子供よりも障害指標(14.3%対10.6%)や神経多様性指標(17.3%対14.1%)が高いことがわかりました。また、農村部の障害を持つ子供は、過去1年間に行動やメンタルヘルス、集中力に関する処方薬を受ける可能性が高いことが示されました(34.2%対25.9%)。一方、発達障害や他の医療サービスの利用、特別支援教育の参加には地域間の差は見られませんでした。この報告は、障害の有病率における農村部と都市部の格差の原因についてさらなる調査が必要であること、農村部の障害を持つ子供たちを支援するプログラムと政策の継続的な支援の必要性を示しています。