どんなスキルも獲得可能?強化を使って楽しく学び成長できる仕組みを作る【強化実践編】
今回は強化の実践編です。前回の準備編では、強化の概要および準備に関して紹介しました。
はじめに
今回は強化の実践編です。 前回の準備編では、強化の概要および準備に関して紹介しました。
今回は準備編で紹介した、正の強化、負の強化、トークンシステムに関して、それぞれの実践方法をご紹介します。
チェックリスト
- 目標行動が定義されている
- ベースライン測定が完了している
- 目標設定がされている
- 達成基準が設定されている
- 使用する強化方法が選択されている
- 使用する強化子が選択されている
正の強化
Step1つど強化する
正の強化は、目標行動が発生した直後に強化子を提供します。
**強化を開始した直後は、目標行動が発生した直後につど強化するようにします。**これは、対象の行動を増加させるという本来の目的に加えて、対象の行動を実行すると強化子を獲得する事ができるという仕組みを児童にも理解してもらう為です。
即時につど強化をしても、児童が仕組みを理解出来ていないというようなケースにおいては、強化子を与える際にどんな行動をしたから、強化子がもらえるのか説明してあげるとより理解してもらいやすくなります。
例 「宿題終わったから、好きな本読んでいいよ」
また、つど強化していく上で、強化子がモチベーションとして機能するためには、対象となる行動やスキルを使用する時以外には強化子を獲得できないようにしておくことが必要です。
というのは、目標行動以外の方法でも強化子を獲得できてしまうと、目標行動を使用する割合が減ってしまう可能性がある為です。
チェックリスト
- 目標行動の直後につど強化子を提供する
- 強化の仕組みを児童に理解してもらう
Step2強化子の種類を変更する
強化を継続していく中で、可能であれば強化子をより自然に得られるものに変更していきます。
これは、児童の学習機会の増加と、実生活で使えるスキルとして目標行動を身につけていく為です。
例を考えると分かり易いと思います。
強化の機会が限定される例 「おはようございます」と挨拶をした際にシールを提供する 強化の機会が豊富な例 「おはようございます」と挨拶をした際に、「おはよう」と挨拶を返す
前者の例では、シールという強化子が提供された場合にのみ強化されますが、後者では挨拶が返されれば強化されます。日常生活でよく目にするのは後者です。このように目標に対する自然な応答が強化子と機能するのであれば、療育の中でも使用する強化子をそのように変更したり、複数の強化子を組み合わせて使用する中で、より自然な強化子を使用する割合を増加させます。
基本的な強化子変更の方向性としては、食事睡眠といった生理的欲求に紐づく強化子や児童がこれまで学習した強化子(シールがもらえるなど)から、社会的強化子(先生から褒められる、注目される)へと変更していきます。
*ただし社会的強化子がまだ有効でない場合などは、無理に変更する必要はありません。
チェックリスト
- 可能であれば社会的強化子で強化する割合を増やす
Step3飽きない工夫をする
強化子が高頻度で使用されると、どれだけその強化子が特別であっても飽きが生じてしまいます。
飽きが生じるとモチベーションとしての効果が弱まり動機付けが難しくなってしまうため、飽きを防ぐための工夫が必要です。