どんなスキルも獲得可能?強化を使って楽しく学び成長できる仕組みを作る【強化準備編】
今回は、応用行動分析学に基づいて療育を実践していく上で欠かせない方法である強化に関して概要から実施にあたり必要な準備に関してご紹介します。
はじめに
今回は、応用行動分析学に基づいて療育を実践していく上で欠かせない方法である強化に関して概要から実施にあたり必要な準備に関してご紹介します。
強化は新しいスキルを学習するときにはほぼ必ずと言っていいほど使用される方法です。また、ある意味**「褒めて伸ばす」を理論的に実践できる方法**ですので是非インプットしてみてください。
強化とは?
**強化(Reinforcement)**は、児童のスキルの定着や、適応行動の増加のために用いられる方法の一つです。
簡潔に言えば、ある行動に対して特定の結果を付随させることで対象行動の将来における発生頻度や確率を向上させるための方法ということができます。
より具体的なケースを考えてみると理解しやすいかもしれません。
バスや電車で席を譲って感謝される →次回も席を譲る確率が高まる 落し物を拾い届け、持ち主からお礼をされる。 →落とし物を見つければ届ける確率が高まる
上記の例のように、何か行動をした後に自分にとって好ましい結果が生じると、同じような事が起きたとき以前取った行動と同じ行動を取ってしまうこと、ありますよね。これが強化されている状態です。
このように日常生活では無意識的に強化されていることが多々ありますが、療育という文脈では、意図的に児童のスキル獲得や、獲得したスキルを維持するために用いられます。
チェックポイント
- 強化とは特定の行動に、特定の結果を付随させる事で、対象行動の将来における発生頻度や確率を向上させる方法****
強化子とは?
強化は特定の結果を付随させて対象行動を増加させる方法と簡単に紹介しましたが、付随させる結果でかつ行動の頻度を増加させたものを強化子と呼びます。
強化子の例 自主学習の時間になった際に、自分で着席できた場合、ハイタッチする。 ハイタッチした結果、自分で着席する頻度が増加した。 ハイタッチ=強化子
しかしながら、実際に行動の増加に結びつかなかった結果は強化子とは呼びません。勘違いしやすいのはご褒美的に提供するものや児童の好きなものが全て強化子となるかと言われるとそうとは限らないという点です。
強化子ではない例 自主学習の時間になった際に、自分で着席できた場合、好きなキャラクターのシールをあげる。
シールをあげた結果、自分で着席する頻度は増加しなかった。 シール≠強化子
ちなみに、強化子ではないものの児童の好きなものや強化子になりそうなものを好子と言います。
チェックポイント
- 行 動を増加させた結果が強化子
- 強化子ではないが児童が好む物などは好子
強化の種類
強化には大きく分けて、正の強化(Positive reinforcement)負の強化(Negative reinforcement)、トークンシステムの3種類の強化の方法があります。
いずれも対象の行動を増加させることをもく時としていますが、付随させる結果やプロセスがそれぞれ異なります。簡単な定義や例は下記の通りです。
少し理解しにくいのは、負の強化です。
いずれの強化も行動の定着や上昇に寄与しますが、正と負で異なる点は、結果が何かを与えているのか、取り除いているのかという点です。
正の強化は強化子を与えているのに対して、負の強化は、児童にとって嫌なことものを取り除いています。 好きなものをプラス(正)する強化と、嫌なことをマイナス(ー)する強化があると考えるとわかりやすいです。
トークンシステムは正の強化の一部ですが、行動に対して直接強化子を提供するのではなく、最終的に強化子と交換可能なトークンを提供します。
チェックポイント