テレヘルスによるASD支援の可能性
本ブログ記事では、発達障害、とくに自閉スペクトラム症(ASD)や注意欠如・多動症(ADHD)に関する最新の学術研究や社会的動向を幅広く紹介しています。ワクチンとASDの誤解を解く科学的知見、ASDの社会的困難をめぐる哲学的考察、AIによるADHD診断の最前線、テレヘルスによるASD支援の可能性、保護者の心理的負担と生活の質の関係など、多角的な視点から発達障害をとらえ、医療・教育・社会支援に役立つ知見をまとめています。
ビジネス関連アップデート
障害児支援事業者が6768万円を不正受給 柏市が指定取り消しへ
千葉県柏市の障害児通所支援事業所が不正受給発覚。指定取り消しへ。
社会関連アップデート
If Vaccines Don’t Cause Autism, What Does?
ワクチンと自閉症の関係性についての誤解は、今なお一部で根強く残っています。本記事では、その誤解を科学的に否定しながら、「では実際にASDのリスクはいつ・どこから始まるのか?」という問いに対し、最新の研究に基づいた妊娠中・出生前のリスク要因を丁寧に解説しています。母体の免疫反応や親の年齢、妊娠中の健康状態など、さまざまな要素が複雑に絡み合うASDの発症メカニズムに迫る一方で、「何ができるか」という具体的な予防行動のヒントも紹介。ASDに関する正しい理解を広めるために、保護者・支援者・医療者すべての方に読んでほしい内容です。
学術研究関連アップデート
Intersubjective, systemic, and sensory roots of autistic social difficulties: a critical evaluation of enactivist and phenomenological approaches
この論文は、自閉スペクトラム症(ASD)のある人たちが抱える**「社会的な困難さ」**の原因をより深く理 解するために、近年注目されている「現象学的(体験重視)」や「エナクティブ(関係性重視)」な視点を批判的に評価しています。
著者は、ASDの社会的な困難を理解するには、以下の3つの観点を同時に考える必要があると主張しています:
🔍 3つの「社会的困難の根」:
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相互主観的な違い(intersubjective differences)
→ ASDの人とそうでない人の感じ方や伝え方の違いが、誤解やすれ違いを生む。これは「ダブル・エンパシー問題」として知られており、「ASDの人が一方的に理解できない」のではなく、お互いに理解しづらいという関係の問題とされます。
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システム的な差別(systemic discrimination)
→ ASDの人の身体の使い方や表現の仕方が社会の標準に合っていないことを理由に、排除や不利な扱いを受けている。これは「異質だから仕方ない」のではなく、社会の力関係やルールの偏りが原因であると指摘します。
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感覚の違い(sensory modulation)
→ 光や音などへの敏感さや注意の向け方の違いは、確かに社会的困難と関わりますが、これが唯一の原因ではない。むしろ、上の2つと組み合わさって困難が生じていると考えるべきです。