アセスメントツールってなんで重要?〜生活能力編〜【詳解】
前回は、アセスメントツールの中でも知能検査と発達検査に絞って詳解しました。
はじめに
前回は、アセスメントツールの中でも知能検査と発達検査に絞って詳解しました。
https://www.easpe.com/blog/article/46
今回は生活能力についてのアセスメントツールに関して種類、違い、どんな情報が得られるのかなどを詳解していきます!
生活能力とは
生活能力は適応機能とも呼ばれ、意思伝達、自己管理、家庭生活、社会的・対人的技能など社会の中で日常生活を送るのに必要な幅広い能力のことを指します。
生活能力のアセスメントって重要?
生活能力をアセスメントすることにより、児童本人の生活状況や支援の必要性がより明らかになります。
適応機能のアセスメントツールは質問項目が詳細で、氏名や住所を正しく言えるか、体調不良を訴えられるか、電子レンジが使えるか、おつりの計算ができるか、他人との距離を適切に保てるか、スポーツやゲームのルールを守れるか、など幅広い分野の質問からレベルを把握することができます。
これによって、支援の必要性の判断をより客観的に行うことが可能になり、今後獲得する必要のあるスキルが明確になります。
実際、個別支援計画を立てる際に役立ったり、定期的に実施すると適応機能の状態の変化を継続的に追うことができ、有効な支援ができているかどうかの判断の目安にもなります。
それでは生活能力を測るアセスメントツール3つについて説明します。
生活能力(適応行動 )の主なアセスメントツール
- 日本版ヴァインランド適応行動尺度Ⅱ
- 新版S-M社会生活能力検査
- ASA旭出式社会適応スキル検査
日本版ヴァインランド適応行動尺度Ⅱ | 新版S-M社会生活能力検査 | ASA旭出式社会適応スキル検査 | |
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検査形式 | 面接調査フォーム | 質問紙形式 | 質問紙形式 |
検査官 | 大学院等で心理検査・心理測定を履修した者 | 大学院等で心理検査・心理測定を履修した者 | 大学院等で心理検査・心理測定を履修した者 |
対象年齢 | 0~92歳 | 乳幼児~中学生 | 幼児~高校生 |
検査対象 | 制限なし | 社会生活能力の発達につまずきがあると思われる子ども | 社会適応に心配があり、支援や評価が必要な子ども |
回答者 | 保護者・近親者および評価対象者をよく知る者 | 子どもの様子をよく知る大人 | 子どもの様子をよく知る大人 |
所要時間 | 20~60分 | 10~15分 | 20~30分 |
費用 | 1~2万 | 記載なし | 記載なし |
購入先 | 日本文化科学社 | 日本文化科学社 | 日本文化科学社 |
施設に検査に必要な資格を持つ職員がいない場合には、検査を導入している精神科や心療内科、大学の相談室、民間のカウンセリングルームなどで受けることができます。
また発達障害者支援センターでも、実施している機関について問い合わせをすることもできます。
http://www.rehab.go.jp/ddis/%E7%9B%B8%E8%AB%87%E7%AA%93%E5%8F%A3%E3%81%AE%E6%83%85%E5%A0%B1/
また費用に関しても、各施設ごとに料金設定が異なるため受診する病院やセンターなどに問い合わせが必要となります。
それでは、それぞれのアセスメントツールについて詳解していきます。
参照:特定非営利活動法人 アスペ・エルデの会「発達障害児者支援とアセスメントに関するガイドライン」、日本文化科学社
日本版ヴァインランド適応行動尺度Ⅱ
生活能力全般を検査する標準化されたアセスメントツールとしてはもっとも国際的に用いられているものの一つです。
コミュニケーション、日常生活スキル、社会性、運動スキル、不適応行動の5つの領域で構成され、それぞれの領域には下位領域があります。「運動スキル」領域は、評価対象者が6歳までの場合に実施します。また、下位領域である「読み書き」領域は評価対象者が3歳以上、「家事」領域は1歳以上から実施可能です。
引用:日本文化科学社
面接は、評価対象者の日常を良く知っている成人に実施されます。回答者は多くの場合、保護者や家族となりますが、評価対象者が保護者やその他の家族と同居していない場合は、施設職員その他の支援者が回答することもできます。
面接形式は、典型的な面接者が質問項目を書いてあるとおり順番に読みながら質問していくのではなく、半構造化面接と呼ばれる、なるべく自然な形で全体的な話題から詳細な情報へと移行する会話形式が取られています。
この半構造化面接方式によって、評価対象者のより正確な情報を回答者から引き出せる柔軟な面接であると言われています。
適用範囲は0歳~92歳と幅広く、面接時間は20~60分とされていますが、半構造化面接方式をとっていること、評価対象者の年齢や特性、回答者の個人差や状態などによって面接時間はそれより長くなることもあります。