教員養成課程におけるディスレクシア教育の改善に向けた課題
このブログ記事では、発達障害や特別支援教育、行動支援に関連する最新の研究を取り上げています。幼児期の行動介入を効果的に実施するための戦略、発達性計算障害に対するそろばんトレーニングの効果、自閉スペクトラム症や知的障害を持つ子どもとその家族が災害や日々の感情の影響にどう対応しているかを調査した研究が紹介されています。また、遺伝子変異がADHDや合併症に及ぼす影響や、教員養成課程におけるディスレクシア教育の改善に向けた課題についても触れ、発達障害や教育現場における支援の可能性を広げるための多角的な知見を提供しています。
学術研究関連アップデート
How Can Implementation Science Advance Behavioral Interventions in Preschool? A Scoping Review and Recommendations
この研究は、幼稚園で行われる行動介入が、行動支援を必要とする子どもたちに役立つ一方で、教師が介入を実施する際に多くの障壁に直面していることを指摘し、その解決策を探るためのレビューです。研 究では、行動介入を実施する際の障壁と促進要因(決定因子)や、それらを解決するための効果的な戦略を調査しました。
主な結果:
- 決定因子(障壁と促進要因):
- 実施を妨げる要因や促進する要因についての研究は少なく、共通する課題についての一致がほとんど見られませんでした。
- 例として、リソースの不足や教師のスキルに関する課題が挙げられました。
- 効果的な実施戦略:
- すべての研究で何らかの実施戦略が用いられており、特に教師のトレーニングと質のモニタリングが中心的な取り組みとして注目されました。
結論と提言: 研究は、行動介入を成功させるためには、教師が直面する具体的な障壁をより深く理解し、それに応じた支援を行う必要があることを強調しています。また、効果的なトレーニングプログラムや介入の質を継続的に評価する仕組みを取り入れることで、幼稚園での行動介入の実施を支援できるとしています。この研究は、教育現場と研究の間にある「実践のギャップ」を埋めるための重要な視点を提供しています。
The effect of a 2-month abacus training on students with developmental dyscalculia
この研究は、数学の学習障害である**発達性計算障害(DD)**を持つ子どもに対して、2か月間のそろばんトレーニングがどのような効果をもたらすかを調査したものです。DDは、数感覚や計算能力、脳の数処理に関わる部分の発達に特徴的な問題を抱える障害です。
主な結果:
- そろばんトレーニングを受けたDDの子どもたちは、数感覚、計算能力、持続的注意力のスコアが、トレーニングを受けていない対照群よりも高くなりました。
- そろばんグループの子どもの方が、DDスクリーニングタスクでの改善を示す割合が高いことが分かりました。
結論: そろばんトレーニングは、DDの介入手段として有望であることが示されました。そろばんを使った学習は、数の処理能力や集中力を向上させ、数学的な課題を克服するための効果的なツールとなる可能性があります。