ASDのある幼児の保護者を対象とした不安対処プログラムCLK-CUES
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本記事では、自閉スペクトラム症(ASD)の子どもに関する最新の学術研究として、2つの重要なテーマを紹介しています。1つ目は、ASDのある幼児の保護者を対象とした不安対処プログラム「CLK-CUES」が、子どもが小学校入学後に感じる 分離不安や登校しぶりを軽減し、学校への適応を高める効果があることを示した研究です。2つ目は、中国語を母語とするASD児と非ASD児の間で、文中の音の強調(プロソディ)が「〜だけ」という暗示的な意味の理解に与える影響を比較したもので、ASD児はプロソディへの感受性が低く、文の意味理解に活かしにくいことが明らかになりました。これらの研究は、早期介入と言語支援の個別化の重要性を示しており、家庭や教育現場での実践に直結する知見を提供しています。
学術研究関連アップデート
Brief Report: School Anxiety, School Attendance and School Refusal/Distress Following an Autism-Specific Parent-Mediated Intervention for Anxiety in Preschoolers
この研究は、自閉スペクトラム症(ASD)のある幼児を対象にした不安対処の親向けプログラムが、小学校入学後の「学校への不安」や「登校しぶり(school refusal)」にどのような影響を与えるかを調べたものです。
🎯 研究の目的
自閉スペクトラム症の 子どもは、幼児期から強い不安を感じやすく、小学校入学時に登校不安や不登校になりやすいことが知られています。この研究では、幼児期に不安対処を目的とした**親向けプログラム「CLK-CUES」**を受けたことで、後の「学校への不安」や「欠席」にどのような効果があるかを検証しました。
🔍 実施内容
- 対象:就学前のASDのある子どもとその保護者
- 介入:親向けの不安対応プログラム「CLK-CUES」グループ(15名)と、比較グループ(13名)
- 評価時期:介入前・介入後・1年後(子どもが就学してから)
- 評価項目:
- 学校での分離不安(teacher report)
- *欠席日数(parent report)**と、その理由(特に登校しぶり・登校時の不安による欠席)
📊 主な結果
- CLK-CUESを受けた子どもは、学校での分離不安が低く、欠席日数も少なかった
- 特に「登校しぶりや情緒的な理由による欠席」が明らかに少なかった
- 通常の体調不良やその他の理由による欠席には差がなかった