インクルーシブ教育における家族の役割や制度の課題
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このブログ記事では、発達障害(ASD・ADHD)に関する最新の学術研究を紹介し、医療・福祉・教育・行政における課題と可能性を探る内容となっています。具体的には、①ASDの脳波(EEG)や腸内細菌と神経系の関係、②ADHDにおけるメチルフェニデ ートの治療効果と神経学的マーカー、③行動療法が親のストレスや育児の自信に与える影響、④自閉症児の親が持つ拡張自閉症表現型(BAP)、⑤インクルーシブ教育における家族の役割や制度の課題など、最新の知見を基に発達障害支援の現状や今後の展望を考察しています。
学術研究関連アップデート
Variation in Behavior Analysts’ Treatment Intensity Recommendations for Patients with Autism Spectrum Disorder
行動分析士によるASD治療の強度推奨に関するばらつき
この研究は、自閉症スペクトラム障害(ASD)に対する応用行動分析(ABA)治療の強度(セラピーの時間数や頻度)に関する行動分析士の判断がどのように決まるのか を調査したものです。ABA治療では高い強度(長時間の介入)がより良い結果をもたらす ことが一般的に知られていますが、実際の治療強度の決定にどのような要因が影響を与えて いるのかは十分に明らかになっていません。
研究のポイント
✅ 調査対象
- ABA治療の経験がある行動分析士559名 を対象に、オンライン調査を実施
- 治療強度を決定する際に影響を与える36の要因 について、7段階のリッカート尺度(「大幅に減少させる」〜「大幅に増加させる」)で評価
✅ 主な結果
- 患者の診断やスキルの不足が最も治療強度を高める要因 として一致
- ただし、行動分析士によって判断基準には大きなばらつきがあった
- 患者の家族の状況や治療の実施環境など、様々な要因が治療強度の決定に影響 を与えていた
✅ 結論と課題
- ABA治療の強度決定には一定のパターンはあるが、行動分析士によって判断が大きく異なる
- 特に個別化治療のアプローチにおいて、統一された基準やトレーニングが必要
- 治療強度の決定プロセスを標準化することで、より公平で適切な治療を提供できる可能性
実生活への応用
📌 ABA治療を受ける際は、治療強度の決定基準について専門家とよく相談することが重要