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ADHDってどんな症状?原因から診断基準まで詳解【詳解ADHD】

· 約13分

最近になってメディアでも取り上げられるようになり、身近になってきたADHDですが、まだまだ知られていないADHDについての長い歴史や定義の変遷について前回の記事で取り上げました。

はじめに

最近になってメディアでも取り上げられるようになり、身近になってきたADHDですが、まだまだ知られていないADHDについての長い歴史や定義の変遷について前回の記事で取り上げました。

前回の記事はこちら!

https://www.easpe.com/blog/article/36

この記事では、歴史や定義だけでなく、ADHDを発症するとどんな症状が現れるのか、どんな基準でADHDと診断されるのか、そもそもADHDの原因とは何なのかについて詳解していきます。

年齢別に見るADHDの症状

ADHDの症状は4歳以前から現れ,12歳までには発症すると言われています。診断年齢のピークは8~10歳ですが、不注意優勢型の患者では、青年期以降まで診断されないこともあります。

以下齊藤 卓弥医師によるADHDにおける診断の実際から引用

年齢別症状例

幼児期 1.睡眠障害:過度の眠気・無反応あるいは落ち着きのなさによる不眠 2.食事の問題:好き嫌いが激しい、ミルクの飲みが悪い、食事に影響があるくらい泣いてしまう ※ADHDは幼児期において適切に判断することはできないため、あくまでも一例

学齢前** **1.落ち着きの無さ 2.飽くことを知らない好奇心 3.遊びが乱暴(しばしばおもちゃを壊したり、他の子供に怪我をさせたりする) 4.親の注意を引こうとする 5.言うことを聞かない(特に男の子) 6.ひどい癇癪を起こす(多くの子供より、頻度、強度そして継続時間の点で異なる) 7.発達上段階を完了するのに困難(トイレの訓練) 8.短い睡眠時間あるいは不安定な睡眠のパターン 9.運動機能や言語の発達の遅れ 10.家庭内の問題(ベビーシッターを雇ったりすること)

児童期(6-12歳) 1.気が散りやすい 2.与えられたものと関係ないことをしてしまう 3.集中力を持続できない 4.衝動的である 5.攻撃的な行動をする 6.おちゃらけてしまう 7.友達とうまくやっていけない

ADHDの診断基準

ADHDの診断基準については、DSM-5とICD-10,11にまとめられています。これら等の基準に基づいて、日本では医師のみがADHDかどうか診断することができます。

DSMとは、アメリカ精神医学会が出版している、精神疾患の診断・統計マニュアル(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)のことであり、頭文字をとってDSMと呼ばれます。

DSM-5の「5」とは、第5版を意味します。1952年にDSMの初版が発行され、その後改訂を経て、2013年に第5版「DSM-5」が出版されました。

一方でICDとは、世界保健機関(WHO)が作成している、疾患の分類(International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems:疾病及び関連保健問題の国際統計分類)です。

DSM同様、ICD-10の「10」は、第10版を意味します。1900年に第1版が出版されて以降、10年ごとに改訂され、1990年に第10版「ICD-10」が採択されました。またWHOは2019年5月にICD-11を承認し、現在各国で翻訳が進められています。

DSMとICDの違いとしては作成機関、分類範囲、用途が挙げられます。上記にもありますが、ICDは多くの国が加盟するWHO、DSMはアメリカ精神医学学会が作成しています。

また分類する範囲についても、ICDは身体疾患を含む疾患全般、DSMは精神障害のみを対象にしています。

用途については、DSMは医学的に、ICDは医学的・行政的に使用されるため、日本の行政機関においてはICDが用いられます。

DSM-5とICD-10において基準の優劣はなく、大きな違いはありません。どちらも診断の際の資料として参照されています。

University of Iowa Health CareがDSM-5に基づいて作成したADHDの症状チェックリストの一部紹介します。

  1. 学業、仕事、またはその他の活動において、しばしば綿密に注意をすることができない、または不注意な間違いをする。(例:細部を見過ごしたり、見逃してしまう、作業が不正確である)
  2. 課題または遊びの活動でしばしば注意を持続することが困難である。(例:講義、会話、または長時間の読書に集中し続けることが難しい)
  3. 直接話しかけられたときに、しばしば聞いていないように見える。(例:明らかな注意をそらすものがない状況でさえ、心がどこか他所にあるように見える)
  4. しばしば指示に従えず、学業、用事、または職場での義務をやり遂げることができない。(例:課題を始めるがすぐに集中できなくなる、また容易に脱線する)
  5. 課題や活動を順序立てることがしばしば困難である。(例:一連の課題を遂行することが難しい、資料や持ち物を整理しておくことが難しい、作業が乱雑でまとまりがない、時間の管理が苦手、締め切りを守れない)

ADHDの原因

現段階ではADHDの正確な原因は明らかにはなっていませんが、症状が悪化する要因は明らかになってきています。

以下GLOBAL MEDICAL EDUCATIONの資料NHSの資料を参照

NHS:イギリス政府が運営する国民保健サービス(National Health Service)

脳の機能と構造、あるいは損傷** **研究により、ADHDの人と症状のない人の脳の違いがいくつか確認されています。しかし正確な重要性は明らかになっていません。 例えば、脳スキャンに関する研究では、ADHDの人では脳の特定の領域が小さく、他の領域が大きい可能性があることが示唆されています。

他の研究では、ADHDの人は脳内の神経伝達物質のレベルが不均衡である、またはそれらの化学物質が適切に機能していない可能性があると述べています。

また脳内に損傷のある子どもはADHD様症状が見られることがあると言われています。

遺伝 ADHDは家族で発症する傾向があり、ほとんどの場合、両親から受け継いだ遺伝しが発症する重要な要因であると考えられています。

研究によると、ADHDの子供の親と兄弟はADHDを発症している可能性が高いことがわかっています。

ただし、ADHDが遺伝的に受け継がれる方法は複雑であるため、遺伝的障害に当てはまるとは考えられていません。

環境 母親が妊娠中に喫煙や飲酒をすると、その子供にADHDのリスクが高まるという研究結果が示されています。

また就学前の子供が鉛に接触すると、発症のリスクを高めるといわれています。

まとめ

今回の記事ではADHDの症状、診断基準、原因に関して詳解しました。

原因については未だ不明な点が多いというのが現状ですが、その中でも研究が進められ、診断基準や症状が定義、更新されてきました。

ここで紹介した判断基準などはあくまで一例であり、知識のある医師によって使用されることを前提としているため、DSMやICDの診断基準からADHDだと自己判断することはできません。

病気や障害が疑われる場合には、必ず医療機関を受診し、医師の適切な判断を受けてください。

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