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ADHDの支援方法とは?これからはゲームで楽しく支援!?【ADHD詳解】

· 約12分
yanase
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【ADHD詳解】シリーズ第3弾となるこの記事では、環境調整や行動療法、並行して薬物療法など従来の支援方法から、最新のゲームを使った支援まで、ADHDに対してどのような支援方法が存在しているのか詳解していきます。

はじめに

【ADHD詳解】シリーズ第3弾となるこの記事では、環境調整や行動療法、並行して薬物療法など従来の支援方法から、最新のゲームを使った支援まで、ADHDに対してどのような支援方法が存在しているのか詳解していきます。

過去のシリーズはこちら!

https://www.easpe.com/blog/article/36

https://www.easpe.com/blog/article/37

ADHDの支援方法

ADHDの支援は、大きく分けて心理社会的なアプローチと薬物療法などがあり、それらのアプローチを用い、一人一人にあった支援計画が立てられます。

基本的には環境調整など心理社会的治療によって対人関係能力や、社会性などが身につくような支援を主軸に実施し、必要に応じて薬物療法が行われる事が多いです。

心理社会的アプローチ

ADHDへの支援方法としてまず検討されるのは、心理社会的アプローチです。

というのは、ADHD故の行動で叱られたり、責められることが多くなると、否定的な感情を募らせ、最終的に二次障害につながる可能性が高まるからです。そのため、環境調整や行動療法といった周囲の人々の理解の促進と児童の行動改善を同時に実現できる支援方法である心理的アプローチがまず検討されます。

心理社会的アプローチには様々な種類がありますが、その一部を紹介します。

以下塩野義製薬株式会社及び武田薬品工業株式会社運営「知って向き合うADHD」から引用

環境調整** 本人の困難さに沿って、生活しやすいように周囲の環境を工夫することを「環境調整」といいます。 例えば、忘れ物がないように次の日学校に持っていく物リストを作り、親子で一緒に確認する、授業中にさまざまな刺激を受けにくい席にする、などの対応が考えられます。 **

行動療法** 望ましい行動ができたときには褒めるなど、子どもにとって好まれるフィードバックを行い、望ましい行動を強化させます。 望ましくない行動については、その行動を強化してしまうようなフィードバックを避けます。あるいは、その行動に先行する状況やきっかけが生じない方法や、行動の後の対応への工夫を検討します。 **

ソーシャルスキル・トレーニング(SST) 社会や周り(ソーシャル)とうまく関わっていくために必要な技術(スキル)を身につけるためのプログラムです。 最近は療育の場や医療機関だけでなく、教育現場でも広まりつつあります。人とのやり取りや感情のコントロールの仕方、学校生活の送り方などを、指導者と一対一や小集団グループで学びます。** **

ペアレントトレーニング** 同じ悩みを持つ保護者が集まり、行動療法の理論に基づいて子どもの行動を理解し、関わり方を知るプログラムです。 子どもの適切な行動を増やすとともに、不適切な行動を減らしていくような関わりを学んでいきます。親子のやり取りがスムーズになり、保護者のストレスが軽減されることも目的の一つです。 最近は医療機関だけでなく、自治体全体で子育て支援の一つとして取り組む地域も出てきています。 **

薬物療法

薬物療法は、環境調整などでは改善が困難である場合、心理社会的アプローチと並行して実施されます。これは薬物療法はそもそも補助的な役割で使用されることを前提としているからです。

まずは心理社会的アプローチを通じて子供自身の自尊感情・自己評価を向上させ、最終的に薬を飲まなくても自分自身で行動をコントロールできるようになることが重要です。

現在、日本でADHDに対して使われている薬は、6歳から処方することができます。

薬物療法で使われる薬剤の一部を紹介します。

以下一般社団法人日本小児神経学会から引用

メチルフェニデート塩酸塩徐放剤** 中枢神経を刺激して、脳内の神経伝達物質(ドパミン、ノルアドレナリン)の調節をすることで行動の問題が改善されます。 **

アトモキセチン** ノルアドレナリン系に作用し、注意及び衝動制御の調節作用が得られる薬剤で、中枢神経刺激作用はなく依存の問題がないとされる薬剤です。 **

ゲームを利用した世界初の支援方法

北米時間の2020年6月15日、米国食品医薬品局(FDA)は、ADHDの新たな支援方法として、初めてゲームを承認しました。

米国食品医薬品局(FDA):食品、医薬品、化粧品及び医療機器などの承認や規制、安全性や有効性の評価、臨床試験の規制などを専門的に行うアメリカの政府機関。 (公益社団法人日本薬学会から引用)

FDAのプレスリリースによると、Akili Interactive Labsが開発したEndeavorRxというゲームは、ゲーム体験を通じてADHDの支援を行うことができます。利用には処方箋が必要となりますが、主に不注意優勢型または複合型ADHDにあてはまる8歳から12歳の子供たちの注意機能を改善することができ、臨床医のセラピーや投薬、教育プログラムなどの他の支援方法と併用して使用される予定です。

FDAが600人以上の子供を対象として、注意力テスト(TOVA)、学業成績測定、その他の臨床試験で得られたデータから注意機能の改善を示したかどうか検証を行いました。EndeavorRxを利用することで欲求不満、頭痛、めまい、感情的反応、攻撃性など、いくつかの悪影響があると述べていますが、深刻な悪影響はないと報告しています。

またValerie A. Canadyによる"FDA approves first video game Rx treatment for children with ADHD"では、EndeavorRxを4週間使用した後、全体の1/3の子供たちが注意力の欠如に関して改善が見られました。また2ヶ月後には、実験に参加した子供の保護者のうちおよそ7割が、子供たちの実生活上の行動に変化が見られたと報告しています。

このゲームは、障害物が散らばっているコースを子供たちがアバターを操作し、報酬を獲得していくものであり、Akili社によると効果を確認するには、1日30分、週5日、1ヶ月間のサイクルでゲームをする必要があると述べています。

まとめ

今回の記事ではADHDの支援方法に関して詳解しました。

現段階では、ゲームは従来の支援方法と併用で使用されますが、将来さらに技術が進化すれば、ゲーム単体でも楽しくADHDを支援することも可能になるかもしれません。

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