ADHD児における睡眠問題と内面化症状の関連性
このブログ記事では、発達障害やADHD、自閉症スペクトラム障害(ASD)に関連する最新の学術研究が紹介されています。特に、成人ADHD患者における自殺リスクと関連要因、ADHD児における睡眠問題と内面化症状の関連性、メディケイド保険加入のADHD児に処方される向 精神薬のガイドライン遵守状況、そしてASD患者における炎症性サイトカインやバイオマーカーの可能性が取り上げられています。
学術研究関連アップデート
Assessing suicidality in adult ADHD patients: prevalence and related factors
この研究は、成人ADHD患者における自殺リスクと関連要因を調査しています。74名の成人ADHD患者を対象に、Columbia-Suicide Severity Rating Scaleを使用して自殺念慮(SI)、重度自殺念慮(SSI)、自殺行動(SB)、および非自殺性自傷行動(NSSIB)の有病率を評価しました。結果、SIの生涯有病率は59.5%、SSIは16.2%、SBは9.5%、NSSIBは10.8%と判明しました。SIは成人期の不注意症状の重症度、低い自尊心、社会的機能の障害と関連がありました。SSIは、子供時代の不注意症状の重症度、注意衝動性、入院歴と関連し、身体活動が保護的な要因とされました。これにより、成人ADHD患者において自殺リスクが高いことが示唆され、特に不注意が自殺念慮と関連しているため、予防的介入のためにリスクの高い患者を特定することが重要です。
Sleep Problems in Children with ADHD: Associations with Internalizing Symptoms and Physical Activity
この研究は、ADHDを持つ子どもたちにおける睡眠問題と内面化症状(うつ、不安、ストレス)の関連性、さらにそれに対する身体活動の影響を調査しています。188人のADHD児(平均年齢8.6歳)を対象とし、睡眠問題をピッツバーグ睡眠質指標(PSQI)で評価し、内面化症状はうつ・不安・ストレス尺度21(DASS 21)で測定しました。また、身体活動は7日間の加速度計で記録しました。その結果、59%の子どもが睡眠問題を抱えており、これらの子どもたちは毎日の中~高強度身体活動(MVPA)が少なく、WHO推奨の60分MVPA基準を達成する割合も低いことがわかりました。さらに、睡眠問題を抱える子どもたちはうつ、不安、ストレスのスコアが高く、日中の機能障害が内面化症状と関連していました。身体活動基準を満たすことが、ADHD児のうつや不安のリスクを減らす可能性が示唆され、今後の研究で睡眠と内面化症状への長期的な影響、および身体活動に基づく介入の効果が求められます。