このブログ記事では、自閉症スペクトラム障害(ASD)や発達障害に関連する最新の学術研究を紹介しています。研究内容は、応用行動分析(ABA)が自閉症児の感情的・社会的スキルを向上させる効果や、感情に関する言語処理の困難さに関する調査、腸内細菌のバランスと自閉症症状との関連、エコラリアの有病率、共同注意のスキル向上に向けた精密指導法、特別支援教師と認定行動分析士(BCBA)の協力関係、発達性ディスレクシアに対する速読自動化命名トレーニングの効果、家族との相互作用が自閉症児の社会的スキルに与える影響、そしてASDに関連する脳の異常な接続性と遺伝子発現の新たな知見など、幅広い内容が含まれています。
学術研究関連アップデート
The effectiveness of applied behavior analysis program training on enhancing autistic children’s emotional-social skills
この研究は、自閉症スペクトラム障害(ASD)を持つ子どもの感情・社会的スキルの向上に対する応用行動分析(ABA)の効果を調査しています。ABAは、行動を修正する技術を用いて、ポジティブな行動を促進し、問題行動を減少させる治療法として広く利用されていますが、その感情や社会的な発達に対する具体的な影響については、さらなる研究が必要とされています。
目的は、施設に入所している子どもたちの社会的・コミュニケーション能力および日常生活スキルを向上させるための効果的な方法を探ることです。
方法としては、実験群と対照群を用いた準実験的な研究が行われ、2023年に中国の武漢で4歳から11歳の男子100名を対象に、60名を選び、それぞれ30名ずつのグループに分け、実験群には8回の1時間セッションを週2回実施しました。
結果は、ABAプログラムが自閉症の子どもたちの社会的・コミュニケーションスキルと日常生活スキルを有意に向上させたことを示しました(p < .05)。この研究は、ABAが施設における自閉症児の感情・社会的発達を効果的に支援する療法であることを確認しています。
Processing of Emotional Words in Children and Adolescents with Autism Spectrum Disorders
この研究は、自閉症スペクトラム障害(ASD)を持つ子どもや青年が感情に関する言葉を理解する際の困難さについて調査しています。過去の研究では、定型発達児(TD)が「幸福」などの感情を表す言葉(感情ラベル)と「誕生日」などの感情を含む言葉(感情を含む言葉)を異なる方法で処理することが示されていました。この研究では、脳波(ERP)を用いてASDの子どもや青年(11〜14歳)が、感情ラベルと感情を含む言葉の処理をどのように行っているかを探りました。結果として、ASDのグループは定型発達児と同様に感情的な処理を行っていましたが、特にポジティブな感情ラベルの言葉に対して、処理に差が見られました。さらに、ポジティブな感情ラベルの処理と社会的な機能不全との関連が見られました。これにより、ASDの子どもたちが感情に関する言語理解に選択的な障害を持っている可能性が示唆されています。