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軽症小児OCDにおけるインターネットCBTの適合性

· 約16分
Tomohiro Hiratsuka
CEO of Easpe, Inc

このブログ記事は、発達障害、心理的介入、健康管理に関連するさまざまな最新の学術研究を紹介しています。ナイジェリアでの理学療法に対する支払い意思と関連要因、軽症小児OCDにおけるインターネットCBTの適合性、自閉症スペクトラム障害における発達段階別の脳変化、成人ADHDの症状信頼性テストの比較、自閉症リスク児の感覚処理とコミュニケーションの発達、ADHDの有病率に関する系統的レビュー、自閉症児への対話型読書介入法の効果、日本における幼児期の屋外遊びと学齢期の肥満リスクの関係などについて紹介します。

学術研究関連アップデート

この論文は、ナイジェリアにおける障害を持つ子どもの親が理学療法(フィジオセラピー)に支払う意思(WTP)、健康関連の生活の質(HRQoL)、および理学療法に対する満足度の関連性を調査した研究です。調査対象は65人の親で、WTPアンケート、SF-12健康調査、理学療法満足度アンケートを用いて評価を行いました。

主な結果は以下の通りです:

  • 回答者の多く(49.2%)は21~35歳の年齢層に属していました。
  • 障害を持つ子どもの親の30.8%が理学療法に対する支払い意思を示さなかった(「no WTP」)。
  • WTPと社会経済的地位との間には有意な関連が見られました(p<0.05)。
  • 一方で、WTPと理学療法に対する満足度およびHRQoLとの間には有意な関連は見られませんでした(p>0.05)。

結論として、障害を持つ子どもの親の多くが理学療法に対する支払い意思を示さず、理学療法の満足度や生活の質とWTPには関連がないことが明らかになりました。

A prediction analysis testing if internet-delivered cognitive-behaviour therapy is most suitable for the milder cases of pediatric obsessive-compulsive disorder - BMC Digital Health

この論文は、小児の強迫性障害(OCD)に対するインターネットを用いた認知行動療法(CBT)が、軽症例に最も適しているという一般的な考えを検証するための予測分析を行いました。非劣性臨床試験の二次データ分析では、OCDの若者152人を対象に、インターネットによるCBTと対面CBTを比較しました。

主な結果は以下の通りです:

  • 基本的な症状の重症度が高い場合、対面CBTでの治療効果が低くなる傾向がありましたが、インターネットCBTではその傾向が見られませんでした。
  • 軽症の患者においては、インターネットCBTの治療効果が対面CBTよりも劣ることが分かりました。

結論として、この結果が再現されれば、インターネットCBTが軽症例に最も適しているという従来の考え方に疑問が生じる可能性があります。

Structural and functional whole brain changes in autism spectrum disorder at different age stages

この論文は、自閉症スペクトラム障害(ASD)の人々における脳の構造的および機能的変化が年齢によって異なることを調査しています。対象とする年齢層は、児童期(6-12歳)、思春期(12-18歳)、成人期(18歳以上)です。神経画像解析技術を用いて、脳の構造(ボクセルベースの形態計測:VBM)や機能(地域的な同調性:ReHo、低周波変動振幅:ALFF、および分数ALFF)における変化を評価しました。

主な結果は以下の通りです:

  • 発達段階ごとに異なる脳の構造・機能の異常が見られました。特に、前頭葉、扁桃体、頭頂葉などの領域で構造的変化が顕著でした。
  • 児童期では、下頭頂小葉や被殻のVBMが制限された反復行動と関連していました。
  • 機能的には、内側前頭回の地域的な同期が乱れており、脳の自発的活動の変化も確認されました。

これらの結果は、ASDの研究において年齢に応じた脳の変化を考慮する重要性を示しており、発達段階に応じた介入が必要である可能性を示唆しています。

Symptom validity testing in adults with clinically diagnosed ADHD: comparison of the Conner's Adult ADHD Rating Scale (CAARS) and the Self-Report Symptom Inventory (SRSI)

この論文は、成人の注意欠如・多動性障害(ADHD)の臨床評価における症状の信頼性テストとして、「自己報告症状インベントリ(SRSI)」の有用性を評価しています。研究では、76人のADHD患者、58人の健常対照群、46人のシミュレーション群を対象に、「コナーズ成人ADHD評価尺度(CAARS)」とSRSIの信頼性指標を比較しました。

主な結果は以下の通りです:

  • 健常対照群における特異性(偽陽性を避ける精度)は、CAARSで完全であり、SRSIでは約90%でした。
  • シミュレーション群における感度(偽陰性を避ける精度)は、CAARSでは24%から65%と低かったのに対し、SRSIでは69%から82%と高い結果を示しました。
  • ADHD患者の失敗率は、CAARSでは8%から34%、SRSIでは33%から47%と異なりました。
  • 両方の信頼性指標の分類の一致は限られており、統一的な診断基準の欠如が議論されています。

結論として、SRSIがADHDの臨床評価で有効な症状報告と無効な症状報告を区別するための信頼性の高い手段であるかどうかを明らかにするには、さらなる研究が必要であるとしています。

Exploring cascading effects of sensory processing on language skills and social-communicative difficulties through play in young children at elevated likelihood for autism

この研究は、自閉症のリスクが高い幼児において、感覚処理(SP)が言語スキルや社会的コミュニケーションの困難にどのように影響するかを、遊びを介して調査しました。対象は、自閉症の兄弟を持つ子ども(74人)および早産児(38人)で、10か月時点の感覚処理(過敏、感覚追求、鈍感)が、14か月時点の物遊びを介して、24か月時点の言語および社会的コミュニケーションの困難に関連するかを検討しました。

主な結果は以下の通りです:

  • 物遊びの頻度が高い場合、感覚追求行動が多い子どもは、より良い言語発達と少ない社会的コミュニケーションの困難が見られました。
  • 10か月時点の鈍感さと過敏さは、24か月時点の言語の多様性に影響を与えませんでしたが、鈍感さが多く過敏さが少ない場合には、社会的コミュニケーションの困難が増加しました。
  • 説明された社会的コミュニケーションや言語の困難のばらつきは15.25%-16.39%にとどまりました。

これらの結果は、感覚処理の頻度が必ずしも若年期の自閉症リスク児のコミュニケーションに悪影響を及ぼすとは限らず、早期の物遊びスキルが感覚追求とその後の言語/社会的コミュニケーションの困難との関係において重要な役割を果たすことを示しています。この研究は、早期介入プログラムの設計において考慮すべき点を提案しています。

Prevalence of attention-deficit hyperactivity disorder (ADHD): systematic review and meta-analysis

この論文は、注意欠如・多動性障害(ADHD)の有病率に関する体系的レビューとメタ分析を行い、有病率の推定におけるばらつきの要因を調査しています。主な目的は、ADHDの診断基準や調査方法が有病率の推定にどのように影響するかを明らかにすることです。

主な結果は以下の通りです:

  • 全体で117件の研究が評価され、103件の研究(159の独立したデータポイント)がメタ分析に含まれました。
  • レジスターデータを用いた研究ではADHDの有病率は1.6%(95%信頼区間[0.9–3.0])でした。
  • 調査研究では有病率が5.0%(95%信頼区間[2.9–8.6])と高く、1段階の臨床研究で4.2%(95%信頼区間[2.9–6.0])、2段階の臨床研究では4.8%(95%信頼区間[4.0–5.8])でした。

結論として、ADHDの有病率は使用された診断基準やサンプリング方法によって異なることが示されました。異なる方法論の研究を比較する際には、これらの要因を考慮する必要があるとしています。

Frontiers | RECALL Prompting Hierarchy Improves Responsiveness for Autistic Children with Autism and Children withDevelopmental Language DisordersDelay: A Single-Case Design Study

この研究は、RECALLという対話型読書介入法を自閉症や言語遅滞のある子どもに応用し、反応性を向上させる効果を検証したものです。対象は3~6歳の子ども6人で、多重ベースラインデザインを用いて評価しました。

主な方法と結果は以下の通りです:

  • ベースラインでは、介入者が対話型読書を行い、各ページの後に質問しました。
  • 介入期間中は、最小から最大のプロンプト階層と視覚的なプロンプトカードを用いるRECALL法が使用されました。
  • 介入後、子どもたちはより多くの意味のある正しい反応を示し、応答の種類(言語的 vs. 非言語的)にも変化が見られましたが、パターンは個々の子どもによって異なりました。
  • ただし、成人からの注意喚起や子どもが自発的に反応することを促す一時停止に対する応答性の向上は見られませんでしたが、少数の子どもにおいては変化が観察されました。

この研究は、RECALLが自閉症や発達性言語障害の子どもたちの反応性を高める可能性を示唆しています。

Acta Paediatrica | Paediatrics Journal | Wiley Online Library

この研究は、日本での幼児期の屋外遊び習慣が学齢期の肥満リスクにどのように関連するかを調査しました。対象は2001年1月と7月に生まれたすべての子どもで、2.5歳時点での屋外遊びの習慣を調査し、7歳時点で親が報告した身長と体重データを用いて肥満の状況を評価しました(WHO基準に基づく)。

主な結果は以下の通りです:

  • 53,575人のうち42,812人が2.5歳時の屋外遊び習慣データを持ち、91%(38,970人)が屋外遊びをしていました。
  • 7歳時点で31,743人(74%)に身長と体重のデータがあり、そのうち10%(3,249人)が肥満または過体重に分類されました。
  • 屋外遊び習慣がある子どもは、学齢期の肥満リスクが低くなることが確認されました(調整後のオッズ比0.85、95%信頼区間: 0.74–0.97)。

結論として、幼児期の屋外遊びは学齢期の肥満リスクを減少させることが示されており、親や介護者は早期から子どもに屋外遊びを促すことが肥満予防に役立つ可能性があります。