環境調整で問題行動を減らす!応用行動分析学に基づいた方法【ABI準備編】
自閉症をはじめとした発達障害を持つ児童に支援を提供するにあたり、よく直面する課題の一つとして問題行動が挙げられます。癇癪やときには人や自分自身を傷つけてしまうこともある行動を適切に減少させるにはどのような支援が望ましいの でしょうか?
はじめに
自閉症をはじめとした発達障害を持つ児童に支援を提供するにあたり、よく直面する課題の一つとして問題行動が挙げられます。癇癪やときには人や自分自身を傷つけてしまうこともある行動を適切に減少させるにはどのような支援が望ましいのでしょうか?
今回は、問題行動を減少させる方法の1つであるABI(Antecedent Based Intervention)という方法をご紹介します。
ABIとは?
ABI(Antecedent Based Intervention)とは応用行動分析学(ABA)に基づいた、不適切行動や課題従事を分析・改善するための実践方法です。どのような状況の時に、どのような刺激が、どのような行動を引き起こし、結果として何が起きたのか、という4つの観点で分析を行い、環境調整を行うことで最終的には不適切行動が起きないような環境を作ります。
ABIの対象になる行動の例
問題行動の他にも、例えば着席しやすい(離席しにくい)環境作り等の形で、使用することも可能です。
- 適応行動の確立
- 自傷行為の減少
- 癇癪の減少
- 反抗的な行動の減少
- 変化への対応可能性の向上
- 遊びを始めるスキル
- 交代
- コミュニケーション
- 常同行動の減少
- 物事に取り組む力の向 上
- 社会性の向上
- 読み書き計算(アカデミック)スキルの向上
- 運動能力(粗大、微細)の向上
実施に当たっての準備
ステップ1ーABC分析
実際にABIを用いる上で、まず最初に重要なのは「何が起きているのか」をしっかりと把握することです。この「何が起きているか」をわかりやすく時系列順に記載するものがABC分析になります。つまり対象とする行動(不適切行動等)に対して、
- Antecedent(先行刺激、行動の直前の状況)
- Behavior(行動)
- Consequence(結果何が起きたのか)
これらABCをそれぞれ記述します。実際に例を考えてみます。
先生が、たかしに積み木を絵と同じように組み立てるように言ったところ、たかしは、積み木を放り投げ、先生はもうやらなくていいと叱り課題を中断した。 たかし君の問題行動の例
この場合のABCは以下のようになります。
A:先生がたかしに積み木を組み立てるように言う
B:積み木を放り投げる
C:先生が叱り課題を中断する
このようにまずは、**「事実として何が起きていたのか」**ABC分析をすることが重要です。
ステップ2ーパターンを探る
さて先ほど、特定の事例でABC分析を行いましたが、1回観察しただけでは、行動の前後にある条件や結果を特定することは出来ません。
そのため、次に行うのは対象となる行動がどんな時に発生しているかそのパターンを探ることになります。
例えば、取り組んでいる課題毎にその行動が発生したか、発生していないかを1週間計測してみると、ある特定の課題の時に発生することがわかったり、なんらかの規則性を発見することができます。
- どこで、対象となる行動が起きているか(学校、家、病院、放デイetc)?
- 誰といる時に、対象となる行動が起きているか?
- いつ、対象となる行動が起きているか?
- 対象となる行動が起きた時に取り組んでいた活動は何か?
- 対象となる行動が起きた時、他の生徒や児童は何をしていたか?
- 対象となる行動が起きた時、先生や周囲の大人は何をしていたか?
- 行動が発生した時に、他の生徒や先生、大人はどれだけ近くにいたか?
- 行動が発生した時に、周囲に何人いたか?
- 行動が発生した時に、環境に変化はあったか?(大きな音や、光etc)
- 行動が発生した時に、その行動の機能はなんだったのか?(行動の機能:獲得、逃避、注目、自己刺激)