このブログ記事では、自閉症スペクトラム障害(ASD)の研究における保護者や幼少期のASD診断後の発達・精神疾患の状況についての研究を紹介しています。1つ目の研究は、自閉症児を持つ保護者が子どもの発達状況に関する要約レポートを受け取ることで、自閉症の理解が深まり、専門家との対話が増えるなど、ポジティブな影響があると示しています。2つ目の研究は、幼少期にASDと診断された子どもが5〜7歳になった際の発達および精神的な疾患の発生率を調査し、ASDが持続する子どもは非持続の子どもに比べてADHDや知的障害などの共存疾患を持つ可能性が高いことを明らかにしています。両研究とも、ASD児やその家族に対する継続的なサポートの重要性を強調しています。
学術研究関連アップデート
Brief Report: Positive Caregiver Perceptions on Receiving Research Summary Reports in Autism Longitudinal Research
この研究は、自閉症の子どもを持つ保護者が、参加する研究の要約レポートを受け取ることに対してどのように感じているかを調査したものです。PARC研究のパイロットフェーズでは、保護者が6か月ごとに質問票を記入し、その後、自分の子どもの発達進捗に関する要約レポートを受け取りました。調査に回答した39人の参加者の大半が、このレポートによって自閉症への理解や子どものニーズの把握が向上し、専門家との対話や介入、教育目標の共有が促進されたと感じています。結果として、多くの参加者がこのようなレポートの提供を望んでおり、研究参加者にフィードバックを提供することが知識向上や専門家との対話の機会を増やすリソースとなることが示されました。
Developmental and Psychiatric Conditions Among 5–7 Year Old Children with Non-persistent and Persistent Autism
この研究は、幼少期に自閉症(ASD)と診断された5~7歳の子どもたちに見られる発達および精 神的な疾患(DPCs)の頻度と種類を調査し、ASDが持続する「持続的ASD」とそうでない「非持続的ASD」間でのDPCsの違いを比較しました。213人のASD診断を受けた子どもたちのうち、62.6%が持続的ASDで、37%が非持続的ASDと判定されました。全体で最も一般的なDPCsはADHD(27.2%)、言語障害(21.6%)、知的障害(21.6%)でした。持続的ASDの子どもたちは非持続的ASDの子どもに比べ、DPCsを持つ可能性が5倍以上高く、非持続的ASDの子どもたちも人口平均よりも高いADHD発生率が見られました。早期にASDと診断された子どもには、他のDPCsについても継続的な評価が必要とされています。