プロンプトとは?成功体験は多く、失敗体験は少ないトレーニング方法!【プロンプト実践編】【応用行動分析学・ABA】
本記事は、プロンプト基礎知識編、プロンプトトレーニング設計編に続く3部目である実践編です。3つのアプローチそれぞれに関して具体的な実践方法をご紹介します。
はじめに
本記事は、プロンプト基礎知識編、プロンプトトレーニング設計編に続く3部目である実践編です。3つのアプローチそれぞれに関して具体的な実践方法をご紹介します。
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最小-最大プロンプトの実践方法
最小最大プロンプトは、3〜5のプロンプトレベルを定め、プロンプトレベルの小さいものから順に適応していく方法です。ここからは最小最大プロンプトに関して具体的な実施ステップをご紹介します。
1.注意と刺激を確立する
まずは目標行動のトレーニングを開始するにあたり、設計編で決めた合図やサイン、先行刺激を使用して、児童の注意の獲得と先行刺激の確立を行います。
児童に注意を向けてもらう方法としては、直接対象刺激や合図を提供することで得られる場合もありますが、別途注意を向けてもらうように工夫する必要がある場合もあります。
工夫が必要な場合には、アイコンタクトや使用するものに触れさせる などのアプローチが有効です。いずれの場合にせよ児童の注意がこちらに向いているタイミングで先行刺激と合図を提供します。
1.先生がたかしに「ちょっと見て」、と声をかける 2.たかしが先生の方を見る 3.先生が、たかしに鯨のイラストを見せる 4.生がたかしに、イラストを指差しながら「これなんだ?」と聞く
2.反応待機
刺激と合図を提供した後で、計画した時に決めた時間だけ児童の反応を待ちます。
3.反応への対応
決めた反応時間を待った後、児童の行動に合わせて、それぞれに対応します。
主な対応パターンは以下の通りです。
対象行動やスキルを使用できた場合
- 目標行動に対して強化子を提供する
- 出来たことを伝える(例:そうだね鯨だね。すごい自分で手洗い出来たね)
対象行動やスキルの使用ができなかった場合
-
誤った反応を中断させる
-
次のレベルのプロンプトを提供する
-
対象行動やスキルが使用できるレベルまでプロンプトを順次使用する
-
目標行動に対して強化子を提供する
そもそも反応がない場合
-
次のレベルのプロンプトを提供する
-
対象行動やスキルが使用できるまで プロンプトを順次使用する
-
目標行動に対して強化子を提供する
4.データ収集
基本的なトレーニングは1〜3のステップに準じて実施し、各トレーニングセッションごとにモニタリングデータを収集していきます。
このアプローチを使用する場合に児童の反応としては、以下の5種類の反応があるためそれぞれに関して、取集していくことが必要です。
プロンプトなしでの正反応 自立レベル(プロンプトなし)で対象行動やスキルの使用が出来た
プロンプトありでの正反応 自立レベル以外のプロンプトを用いた時に、対象行動やスキルの使用ができた
プロンプトなしでの誤反応 プロンプトを使用しなかった場合に、対象行動やスキルを誤って使用するまたは別な行動をする
プロンプトありでの誤反応 プロンプトを使用した場合に、対象行動やスキルを誤って使用するまたは別な行動をする
無反応 正誤問わずなんの反応も帰ってこない
また個別スキルと連鎖スキルの場合には収集方法が異なります。連鎖スキルの場合には、連鎖スキルのうちどの程度できるようになっているのか把握するようにするため、割合を求めます。
5.トラブルシューティング
プロンプトを用いたトレーニングを実施するにあたり、データ収集をしてあまり効果が生じていないようなデータが得られる場合には下記のケースに応じて対応する必要があります。
コントロールプロンプトなのに対象行動が発生しない
- より介入度の強いプロンプトに変更する
中間レベルでの誤反応が頻発する
-
プロンプトレベルの階層を増やす
-
別のプロンプトを使用する
-
タスク難易度の再検討
プロンプト待ちが発生する
- プロンプトあり、なし場合の正反応への強化を変更する
- プロンプトありの正反応への強化をなくす
どのレベルでもうまくいかない
- より強力な強化子を見つける