この記事では、発達障害に関連するさまざまな分野での最新の取り組みと学術的研究の進展を紹介しています。まず、松本市が新年度に発達障害児を支援するための「インクルーシブセンター」の設置計画を発表したことを報告しています。このセンターは、乳幼児期から高校卒業までの子どもたちへの継続的な支援を目的としています。次に、環境充実がラットの行動調節能力に与える影響、母親の不安と抑うつが子どもの不安障害に与える影響、ダウン症候群退行性障害(DSRD)に対する免疫療法の効果、知的障害者の運動技能向上に対する運動トレーニングプログラムの有効性、ADHDモデルラットにおけるプロバイオティクスの効果、施設ケアにあるADHD診断青少年のトラウマ体験とその慣性型の関係、ADHD症状と睡眠問題の関連、そして最後に神経発達障害が顎関節症の リスク要因であることを示す研究について触れています。
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福祉関連アップデート
発達障害児支援を高校まで 松本市がインクルーシブセンター設置へ | 政治・経済 | 株式会社市民タイムス
松本市は、乳幼児期から高校卒業までの発達障害がある子供たちを支援するために、「インクルーシブセンター」を新年度に開設します。この取り組みにより、学齢期の子供たちの教育支援を手厚くすることを目的としています。センターでは保健、福祉、医療、教育などの専門知識を持つ職員が増員され、あらゆる面からの支援が提供されます。このセンター設置の背景には、発達障害のある子供たちの増加があり、これに伴う専門的な支援体制整備の必要性が高まっています。設置にあたっては、関連予算として2629万円が計上され、条例案も市議会に提出されています。市は、子供たちが直面する問題を迅速に対処し、支援期間をできるだけ短くすることを目指しています。
学術研究関連アップデート
Environmental enrichment promotes adaptive responding during tests of behavioral regulation in male heterogeneous stock rats
この研究では、環境の充実が動物の行動調節に与える影響について調べました。特に、注意欠如・多動性障害(ADHD)、自閉症、物質使用障害などの神経精神疾患に関連する不適応な行動特性の背景にある遺伝的および環境的要因に焦点を当てました。研究では、遺伝的に多様な雄のラットを用い、一部を最小限の装飾が施された標準的な環境で、もう一部をおもちゃ、ランニングホイール、避難所が満載の大きな多層ケージのある豊かな環境で育てました。ラットには様々なテストを行い、豊かな環境で育ったラットは、無関係な刺激をより効果的に無視し、その結果、行動をより効率的に調節できることがわかりました。この研究から、標準的な環境で行われる行動研究が、より複雑で実際の環 境に適用可能かどうかについての疑問が提起されます。
Do maternal anxiety and depressive symptoms predict anxiety in children with and without ADHD at 8 years?
この研究では、妊娠期から5歳までの母親の不安と抑うつ症状が、8歳の時点で子どもの不安障害のリスクを高めるかどうかを調査しました。ノルウェーの大規模な母親、父親、子どものコホート研究の一部として行われたこの研究では、妊娠期から幼少期にかけての母親の不安と抑うつ症状を6回評価し、8歳の時点で子どもの不安障害とADHDの症状を評価しました。その結果、不安障害と診断された子どもの母親は、他の母親よりも不安と抑うつ、ADHDの症状スコアが高く、これらの母親の症状は子どもの不安リスクを高めることが分かりました。この研究は、妊娠期と幼少期における母親の不安、抑うつ、ADHDが、8歳の子どもの不安に影響を与えることを示しています。
Neuroimaging abnormalities associated with immunotherapy responsiveness in Down syndrome regression disorder
この研究は、ダウン症候群退行性障害(DSRD)を持つ個人における神経画像異常の有病率を調べ、神経画像異常が治療反応性を予測するかどうかを評価しました。研究では、DSRDのある個人とダウン症候群(DS)だけのコントロール群との神経画像を比較しました。T1、T2/FLAIR、SWIシグナルの異常の有無をレビューし、神経画像異常の存在下での免疫療法を含む様々な治療への反応率を評価しました。結果として、DSRDを持つ個人の35%がT2/FLAIRまたはSWIシグナル異常を持っていることがわかり、これはDSRDのない個人の12%と比較して有意に高い割合でした。特に、SWIシグナル異常はDSRDを持つ個人でより頻繁に認められました。これらの異常を持つDSRDの個人は、免疫療法に対する反応性が高く、ベンゾジアゼピン、抗精神病薬、電気けいれん療法に対する反応性が低いことが示されました。この研究は、DSRDを診断された個人ではT2/FLAIRおよびSWIシグナル異常が一般に考えられているよりも一般的であり、免疫療法への反応を予測することを示しています。