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どうしてそんなことするの?問題行動の原因を分析・改善する方法!【FBA準備編】

· 15 min read
yanase
Internship

Functional Behavior Assessment/行動機能分析です。 ABIの際にも問題行動を分析する上でFBAを用いていましたが、今回はより詳細に関してFBAを実施するにあたっての準備に関して紹介します。

はじめに

Functional Behavior Assessment/行動機能分析です。 ABIの際にも問題行動を分析する上でFBAを用いていましたが、今回はより詳細に関してFBAを実施するにあたっての準備に関して紹介します。

FBAとは?

児童の問題行動のなかで、他人や自分を傷つけてしまう恐れのある身体の安全に関わる行為や、児童自身の学びを妨げている行為への対処に用いられる方法です。対象の行動の機能を分析し、適切な介入方法を選択することで問題行動を減少させます。

FBAにおいて設定される主なゴールは下記のものになります。

  • 問題行動の減少

  • 適切な行動の増加

  • 集団活動への参加機会の増加

  • 自傷行為の減少

FBAのメリット

一見するとなぜそのような行動を取るのか全く理解できないような問題行動であっても、順序立ててFBAを実践することでその背景にある原因等を明確にすることができ、また原因が明確になることによって適切な手立てができるようになります。

さらには、いつどこでなぜ問題行動が生じているのかというデータを取得することへの習慣づけや、それらを用い、問題行動が発生する理由の分析、潜在的に問題行動を強化してしまっている原因、より適切な介入方法の設計を実施することで、「この問題行動はもうどうすることもできない」というケースを最小限にすることができます。

年齢別に効果が確認された領域

| 0〜2才 | 3〜5才 | 6〜11才 | 12〜14才 | 15〜22才 | |---|---|---|---|---| | 行動 | 行動 | 行動 | 行動 | 行動 | | | 就学準備 | 就学準備 | 就学準備 | | | | 勉学 | 勉学 | | | | | | コミュニケーション | | | | | | 適応力 | | |

Step1チーム組成

FBAを用いた分析を開始するにあたり、まず行われるのは分析チームの組成です。この分析チームは多くの場合、すでに対象となる児童の個別支援計画を作成しているチームメンバーで構成されますが、多角的に分析するためには既存のチームメンバー以外の人にも参加してもらうことが望ましいです。

チームと言うと仰々しく聞こえてしまうかもしれませんが、要は対象の行動を様々な場面で確認できるように施設だけにとどまらず例えば学校の先生やご家族に協力していただくと言う形です。

もし可能であるならば、異なる専門分野の知見を持った複数のセラピスト等が含まれていると機能分析を進めていく上でなお良いと言うことができます。

参加対象になる人々のリスト ・対象となる児童の先生(特別指導教員や、通常学級教員等) ・日常的に支援に関わるセラピスト(言語聴覚士、作業療法士、行動分析士etc) ・児童支援に直接関わるパラプロフェッショナル(専門職助手) ・児童の保護者や家族 ・児童本人(発達段階を鑑みて可能であれば)

Step2対象行動の特定と共通認識化

チーム組成が出来たら次に行うのは、FBAの対象となる行動の特定と定義です。

FBAは全ての問題行動や不適切行動に関して一番おすすめと言うことはなく、FBAを用いた方が望ましいケースが存在すると言う形になっています。そのため行動の特定・定義の段階で本当にFBAを実施する必要がある行動なのか、他のアプローチは利用できないか確認しておくことが望ましいです。

ある行動がFBAの対象になるかどうかを判断する際には以下の質問に該当するかどうかで判断することができます。

FBAに該当するかの質問例 ・その行動は、児童本人や周りの人々にとって危険な行動ですか? ・その行動は、児童の学びを阻害していますか? ・その行動は、児童が他の児童と社会的な関わりを持つことや、受け入れられることを妨げていますか? ・それは頻繁に起こりかつ壊滅的または激しい行動ですか?

上記の質問を通じ、FBAの対象となる行動を特定した場合に、その行動に関して共通認識化を行うことが重要です。行動の定義が曖昧であると観察者ごとに対象行動への認識がずれて誤った対処や誤ったデータを収集してしまうといった事態が発生しかねません。これらを未然に防ぐために全員が同じ認識を持てるように定義を確認します。

例 行動特定時の定義  「ミキは、物を片付けるように告げると怒る」 共通認識化をした後の定義  「ミキは、ものを片付けるように告げると、癇癪を起こし、片付けなければならないおもちゃを手に取り周囲に向かって投げる」

Step3アセスメントツールの選択

問題行動に関して、より詳細に理解するためにアセスメントを活用することが有効です。行動の分析を進めていく上でどのアセスメントツールを用いるか事前に選択しておく必要があります。 FBAで用いられるアセスメントで主なものは下記のものになります。

BEHAVIOR ASSESSMENT SYSTEM FOR CHILDREN (BASC-III)(英語:有料) 所要時間 15分 行動機能の評価と行動の問題の特定(攻撃、多動、行動の問題)ができます。 「なし」から「ほぼ常に」までの4段階の頻度で評価されています。

**FUNCTIONAL ASSESSMENT SCREENING TOOL (FAST)(英語:無料) **所要時間 15分〜30分 行動の潜在的な理由を特定します。27のYesNo質問で構成され、スコアリングすることで行動の機能を、注意の獲得、特定の物・活動に従事することの獲得、逃避、感覚刺激の獲得、痛みの減衰、に分類します。

**PROBLEM BEHAVIOR QUESTIONNAIRE (PBQ)(英語:無料) **所要時間 15分〜30分 行動の潜在的な機能を特定します。18個の質問で構成され特定の問題行動がどれほどの頻度で発生しているか比較することができます。

**MOTIVATION ASSESSMENT SCALE (MAS)(日本語:無料) **所要時間 15分〜30分 問題行動の動機を特定します。16の質問で構成され、感覚、逃避、注目、要求に分類されます。

FUNCTIONAL ASSESSMENT INTERVIEW (FAI)(英語:無料) 所要時間 45分〜90分 教師、支援者、保護者など児童と関わりのある様々な人に対してインタビューするためのフォームです。対象とする行動に関する詳細情報や、問題行動が発生した時の出来事、考えられる原因、行動の機能等の情報が得られます。

**STUDENT-DIRECTED FUNCTIONAL ASSESSMENT INTERVIEW (STUDENT-FAI)(英語:無料) **所要時間 20分〜40分 児童が自身で問題行動に関して説明できるときに用いるインタビューフォームです。問題行動に関して児童自身がどのように理解しているか、またいつ起こるのかという情報を直接得る事が出来ます。

Step4データ収集計画を作成

児童の行動の現状を把握する上で、どのくらいの時間または頻度でどんな時に問題行動が生じているのか今現在のデータ(ベースライン)を取得する必要があります。 このデータ収集を行う上で、誰がデータ収集を行いやすいか、またどの程度のデータ量(観察量)が必要か、万が一求めていたデータが取得できなかった時どのように対応するか(代替プラン)、これらを事前に決めておく必要があります。

例 対象の問題行動 「ミキは、ものを片付けるように告げると、癇癪を起こし、片付けなければならないおもちゃを手に取り周囲に向かって投げる」

この問題行動は、教室での遊び時間に最も頻繁に発生する。担当の先生Aは他の児童も同時に見なければならないため、データの記入が困難。そのため手の空いている先生Bに、遊び時間の間、5分ごとに問題行動が発生しているかチェックしてもらい、このデータ収集を4日間実施する。十分なデータが得られない場合には、対象とする時間を昼の遊び時間だけでなく、放課後の遊び時間まで広げることで対応する。

まとめ

以上がFBAを実践するまでの準備でした、深刻な問題行動が発生している時には、とにかく早く対応しなければと焦る気持ちや、もう手に負えないのではないかという場合もあるかと思います。そのような時こそ、チームの力を使って、一つ一つ情報を整理し見通しを持った行動介入が有効となります。 アセスメントのほとんどが英語版など、実際に情報整理をしていく上でやや実行難易度が高くはなりますが、準備段階で必要なことのエッセンスとしては①チーム②問題行動の特定③現在の状態に関するデータが特に重要であるためまずはここを実践してみると言う形でも十分活用できます。

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