オンラインゲームがASD児の社会性に与える積極的な影響
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本記事では、自閉スペクトラム症(ASD)やADHD、ディスレクシアなどの発達・認知特性に関連する最新の学術研究を幅広く紹介しています。具体的には、ASDに対するメラトニンや自然主義的介入(NDBI)の効果、ADHDの子どもの認知機能とスクリーンタイムの関係、ディスレクシア成人の外国語学 習における自発性の困難、保護者の燃え尽きやセルフケアの実態、さらにはオンラインゲームがASD児の社会性に与える積極的な影響など、臨床・教育・社会環境の多角的な視点から実証された知見がまとめられています。また、重度な施設養育の経験が自閉症的特徴に及ぼす影響や、Webアプリの治療活用可能性といった、制度設計や支援の在り方を再考させる研究も含まれており、現代の発達障害支援をめぐる課題と展望を包括的に捉える内容となっています。
学術研究関連アップデート
Melatonin Interventions in Autism Spectrum Disorder: Sleep Regulation, Behavioral Outcomes, and Challenges Across the Lifespan
この論文は、自閉スペクトラム症(ASD)のある人に多く見られる**睡眠障害(最大80%が該当)**に対し、「メラトニン」というホルモンがどのように役立つかをまとめたレビュー研究です。
✅ メラトニンってなに?
- 体内時計(概日リズム)を調整するホルモンで、主に夜になると分泌され、眠気を促します。
- ASDのある人は、メラトニンの分泌が不規則になりやすいとされており、それが睡眠障害の一因と考えられています。
🧪 研究のポイント
このレビューでは、メラトニンがASDに与える影響を次の観点から紹介しています:
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睡眠の改善
→ 入眠のしやすさや夜間の覚醒の減少に効果あり。
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行動の改善
→ 社会的な行動、コミュニケーション、常同行動(繰り返しの行動)などの改善が報告されている。
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脳への保護効果(神経保護)
→ メラトニンには抗酸化作用や抗炎症作用があり、脳を守る可能性があると示唆されている。
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他の治療法との組み合わせ効果
→ 薬物療法や行動療法と併用することで相乗効果が期待できる可能性がある。
🔍 今後の課題と展望
- 効果のメカニズムをもっと詳しく解明すること
- 個別化医療(その人に合った量や使い方)の検討
- 実生活でどれほど役立つかのデータ(実用性)の蓄積